上演開始
(しかし、どうやって5人もの盗賊を殺す?)
幸太郎はまともに戦って5人も倒せるようなスーパーマンではない。
スペースオペラの主役になれない。危機一髪も救えない。
『芝居』が必要だ。これが幸太郎の結論だった。
幸太郎は立ち上がると拍手をしながら、ゆっくりと出て行った。
盗賊が一斉に幸太郎を見る。最初の難関だ。
「なんだあ? てめえ! 変な恰好しやがって」
「私ですか? 私は・・・。まあ、お見せしたほうが早いでしょうかね。
・・・『コール・ゴースト』!」
幸太郎の横に青白く光るゴーストが現れる。
「お前! まさかネクロマンサーか!?」
「そのとおりですよ。もうお分かりですね?
私は生きてるあなた方に用はありません」
「じゃあ、いったい何の用で・・・」
「あ、もしかして、お前この死体が目当てなのか?」
「ご名答。私はここに新鮮な死体が大量に生まれたのを知って
急いでやってきたのですよ」
最初の関門は突破できた。いきなり襲われたらそこで終わりだった。
幸太郎は背広に感謝した。カルタスが幸太郎を貴族と勘違いした
この恰好が相手を躊躇させた一因なのは間違いない。
しかし、問題はここからだ。『盗賊の信用を得る』
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