正体は盗賊と人狩り
「おい、見ろよ! 上玉だぜ!!」
5人の盗賊たちが歓声をあげる。
「さっそくやっちまおうぜ! 可愛い顔してんじゃねえか」
盗賊は檻のなかへ、下卑た視線と品の無い声を向けた。
「まてまて、こいつ生娘じゃねえか? だったらこのまま売ったほうが
高値がつくぜ? こいつ1人まわすよりも売った金で娼婦を
とっかえひっかえ遊ぶほうが楽しくねえか?」
「おお、冴えてんな! いい値がついたら一度に娼婦2人なんてことも
できるかもしれねえ。たまんねえなあ!」
盗賊がみんな檻のほうへ集まったので、幸太郎はより近くまで接近できた。
「まったく、お頭がやられたときは、
人狩りなんて襲うもんじゃねえと思ったが・・・」
「ああ、人狩りの中に恐ろしく強ええ奴がいたな。
まさかお頭と互角に戦えるどころか、逆に倒してしまうとはよ」
「でも、そのおかげで奴も血だるま、息もゼーゼー。
後は楽だったけどな。ぎゃははは」
「俺はもうこりごりだぜ。こっちが14人で人狩りが6人なのに
9人も仲間がやられた。実入りはいいかもしれんが危なすぎんぜ」
(そうか・・・こいつらは盗賊で、襲われたのは人狩りなのか・・・)
幸太郎は嫌な気分になった。
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