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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ 2
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様子を見よう


 一夜明けて。いよいよ幸太郎たちは冒険者として本格的に



行動開始・・・は、しない。



もちろんエーリッタとユーライカは依頼を受けて町を出ている。





『2,3日様子をみたい』





幸太郎の提案で、しばらく休暇となった。



これにはエンリイも賛成。





「多分、そうした方がいいと思うよ」





モコはきょとんとしていたが、説明すると



『それは、ありそうね』と賛成した。





もちろん毎日、冒険者ギルドに顔は出す。でも、朝ごはん食べたら、



あとは町を散歩して回る予定。





エーリッタとユーライカ組との『フレンド』登録は



すぐに終わった。ギルドに申請すると



『わかりました。ファイルに記載しておきます』と



返事がくるだけ。





冒険者ギルドは、それぞれの冒険者個人の情報を記入した



ファイルを作っている。どこの出身か。得意なことは何か。



以前どこのギルドにいたか。どんな仕事をしたか、などだ。



面白い事に簡単な『似顔絵』まで貼ってある。



そのファイルに『〇〇組とフレンド』と書き込むのだ。





ちなみに『クラン』も『フレンド』もギルドの正式なルールには無い。



あくまでも、冒険者が勝手にやっているだけという立場である。



平たく言えば『何かトラブルが起きてもギルドは一切関知しない』と



言っているわけだ。あくまでも冒険者たちの利便性を図っているだけ。





まあ、『フレンド』登録と言っても、『新人』ランクの間は、



ほぼ関係ない。仕事で監督官として付いてくるのは、面識のない



D級冒険者だ。ギルドが知りたいのは



『冒険者としてやっていけそうか?』だから。



評価にはできるだけ主観が入らない方がいい。








散歩に出た幸太郎たちは市場で食材を追加したり、



鍋や壺を買い足したり、雑貨も買った。



ついでに武器屋でエンリイの棍を新調。ガルシアとの戦いで、



かなり痛んだからだ。どれがいいかはエンリイが決める。



『鑑定』したって、良し悪しはわからない。硬さや握り具合は



エンリイの好みに合わせるのが一番いいというだけのこと。



もちろん武器屋はエンリイが選んだ棍を、エンリイの好みに



調整してくれる。





あとは魔道具屋で『灯火』の付与された指輪とワンドを買った。



指輪はモコ用で、ワンドは幸太郎用。これで『陽光』と『灯火』の



使い分けができる。





魔道具屋で『火球』や『風刃』『魔法の矢』が付与されたワンドを



売っていた。しかし、1つ金貨10枚くらいする。



バッテリーの『魔石』と合わせると、コストパフォーマンスは



良くない気がした。まあ、それで命が拾えるなら安い物という



考え方もできるが、現状必要ない。



『身代わりの指輪』が2個だけ売っていたが、1つ金貨30枚。



そもそもこれは『使い捨て』装備。



制作者の名前は、なんとヴィンフリートとシャオレイ。



一般の冒険者相手に売ってるわけではなさそうだ。





逆に幸太郎が思わず買ってしまったのが『送風』の付与されたワンド。



1本で銀貨5枚ナリ。これは生活魔法の『送風』が付与されている。



簡単に言えばハンディ扇風機。ファンが無いので突如風が発生してる。



シュールだ。ちなみに飲食店で使う、大型の『換気扇』タイプもあった。





(なるほど、『魔石』が乾電池だとすると、お店とかは


しょっちゅう買う必要がありそうだ。ダンジョンと共生しようって


奴らが出るのも仕方ないんだな・・・)





日本とは違う、異世界の魔法文明。








幸太郎が『様子をみよう』と言った意味は、休暇2日目に具体的な



結果で現れた。








幸太郎たちが朝食を食べて、紅茶を飲んでいると、



4人組の男たちが近づいてきた。そして、いきなり・・・。





「おおっと! 手が滑ったぁ~~~!!」





そう言って、幸太郎の頭に熱いスープが入った器を被せてきた。





「うわっ! あちっ!!」





幸太郎が器を手で振り払う。そして、熱いスープをタオルで拭いた。



男たちはニヤニヤ笑いながら幸太郎たちへ話しかける。





「いやいや、スマン、スマン。ちょっと手元が狂っただけさ。


悪気はないんだよ。怒るな怒るな」





モコとエンリイが眉を吊り上げて立ち上がる。



だが、幸太郎はそれを抑えて、2人に座るように言った。



すでに説明を受けているので、モコとエンリイは渋々座った。





「そうそう、俺たちは別にケンカを売りに来たわけじゃないからなぁ。


これも何かの縁だ。仲良くしようぜ、『幸太郎』く~ん」





(俺の名前までしっかり憶えているとは、明らかに俺たちを


ターゲットにしているな。早速『釣れた』か・・・)





4人組の男たちは、ガタガタと椅子を持ってきて、幸太郎たちの



テーブルに勝手に入ってきた。だが、同時に幸太郎、モコ、エンリイは



席を立つ。





「え? おいおい、つれねーな。俺たちはお前らと『仲良く』


したいんだけど?」





「こっちにその気はありません。そのテーブルは譲りますから、


どーぞ、ごゆっくり」





幸太郎たちは、さっさとギルドを出ていく。



エンリイが『まだ、食べかけなのに・・・』とぼやく。



モコが幸太郎に『洗浄』をかける。モコは説明を受けてはいるが、



やはり、かなり怒っていた。





「もう、殺しましょう。今日、殺しましょう」





「まあ、今日のところは様子を見ようよ。


ただ、いきなり熱いスープを頭からかけてくるとは、


かなり乱暴な奴らだな。これは思ったより酷い事になるかも・・・」





「ボクもそう思う。


ああいった奴らは、どこのギルドでもいるけど・・・。


これはちょっと血生臭いことになりそうな予感がするね」










(C)雨男 2024/05/05 ALL RIGHTS RESERVED






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