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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ 2
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海辺で話を


 「俺に『さん』はつけなくていいよ、エーリッタ。


ざっくばらんにいこう」





これからは同じ冒険者として対等な関係で行きたいと



幸太郎は思っている。





「うう~ん、あたしもその方がいいんだけどさー。


なーんかねー。幸太郎さんって、あたしたちより、


ずっと年上な感じがするのよ。いや、もちろん同年代って


見ればわかるし、老けてるって意味でもないのよ?」





幸太郎は『ギクッ』とした。確かに見た目は若いだろう。



しかし、中身は2まわりも年上の『おっさん』だから。





女の勘、恐るべし。





「ははは、誉め言葉として受け取っておくよ」





幸太郎はこの話は切り上げることにした。



幸太郎は現在『黒フードのネクロマンサー』『荒野の聖者』



『ナイトメアハンター』という変な異名が付き、



全部うかつに話してはいけない事になっている。





だが、幸太郎について、突出して秘密にしておかなくては



ならないのは『異世界転生者』ということだ。



これはモコが幸太郎にアドバイスしてくれた通りである。



幸太郎は本もマンガも好きなので、ちょっと異世界転生について



甘く考えていたのは否めない。しかし、いざ実際に



転生してみると、各国から『手に入らないなら殺してしまえ』という



存在であることが理解できた。





『異世界転生者』である事だけは、知ってる人は可能な限り少ない方がいい。



エーリッタとユーライカですら、幸太郎が『転生者』と知ったら、



どんな反応、考えを持つかは想像がつかない。



見た目通りの年齢じゃないことは、教えない方がいいのだ。





(最初に会ったのがモコで良かった)





幸太郎は心の底からそう思っている。








「で、エーリッタとユーライカに協力を頼みたいんだけど、


ここでは話しづらいから、食事が住んだら海辺にいかないか? 


夕食は俺たちが作ってご馳走するからさ」





エーリッタとユーライカは素直にうなずいた。





「まあ・・・確かに、ここは話しづらいわよね。


なーんかさっきから、こっちを見る目がウザいし?」





モコとエンリイも『うんうん』と、うなずいている。



まあ、やっぱりというか、当然というか、女性陣は



幸太郎よりも先に『集まる視線』に気づいていた。








昼食を早々に切り上げ、5人で海へ向かう。



防壁の門で『外出許可証』を出してもらった。



ギルドカードを見せると1人あたり銀貨2枚を要求される。



まあ、『紙の』ギルドカードでは仕方ない。



ちなみにC級以上はタダである。信用が違う。





「お金出さなくていいよ。俺がまとめて払うから」





「いいの? あたしたちも少しは持ってるけど・・・」





「いいんだよ。その辺りも含めて話したい」





「ん-。じゃあ、ありがたく」





エーリッタとユーライカは『ニカッ』と笑う。



幸太郎から見れば、やっぱり『高校生ていど』にしか見えない。



もっとも、モコに至っては『少女』にしか見えないのだが。





『閉門までに戻れよ?』という番兵の声を聞きながら海辺へ。








『鴉』たちの見張り小屋『だった所』近くまで浜辺を移動する。



砂浜に『時計塔』を4つ作り、それに支柱を結んだ。



その支柱にシーツを結んで『タープ』の代わりに。



その後、椅子やテーブルを次々に『マジックボックス』から



取り出し、並べた。





「もちろん知ってるんだけど・・・やっぱりスゴイわね。


幸太郎さんの『マジックボックス』の容量は・・・」





モコとエンリイが鼻息も荒く『ドヤ顔』をする。





「さて、話をする前に、みんなで貝を掘ろう。


夕食はバーベキューの予定だよ。貝は塩バター焼きにしよう」








みんなで一緒に潮干狩りだ。





「あ、ご主人様、これおっきいです!」





「『鑑定』では『ホワイト大アサリ』ってでるね。


美味しそうだ。しかし、でっかいなぁ」





その大アサリは真っ白くて、確かに見た目はアサリっぽい模様が少しある。



日本では見たことの無い貝だ。しかも、大きさが大人の手くらいある。





幸太郎たちは土木工事に使った桶に、次々に貝を入れてゆく。



砂抜きのために海水をちょっと入れておいた。





「幸太郎サーン、これくらいあればいい?」





エンリイが岩場の方から戻ってきた。籠にはサザエが



山盛りに入っている。はっきり言って、ものすごい量だ。





「へー! こりゃサザエだな。しかも、みんなかなり大きい。


食べ応えありそうだ」





「えへへ、イーナバースの港町ではサザエのオイル焼きが


美味しかったんだよ。お酒にも合うんだ」





「エンリイは飲み過ぎちゃダメよ?」





「もー。わかってるってモコ。だーいじょーぶ!」





エンリイはモコから首筋にチョップを食らった記憶は無いのだ。





「幸太郎さん、そろそろこっちの桶も一杯よ?」





エーリッタとユーライカが集めたのは、普通のアサリとハマグリだ。



この世界にもあったことに、幸太郎はちょっと感動。



まあ、ヨモギやドクダミ、鯉もいたから、さすがにもう驚きはしない。





(しかし、この短時間で、こんなに収穫があるとは・・・。


この地域の人たちは、あんまり海産物は食べないのかな?


肉が主体の食文化なのか・・・)










(C)雨男 2024/04/27 ALL RIGHTS RESERVED






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