生存者
幸太郎は音のするほうへ走った。
近い。その丘の向こうあたりだ。幸太郎はいったん止まった。
幸太郎の持ってるカードは『ゴースト』『ゾンビ』『神虹』
あとは『時計塔』で障害物くらいなら作れるが、
とても相手を倒せる魔法じゃない。
ステータスを見る限り、武器を持っていても誰にも勝てそうにない。
相打ちなら『復活』が有効だが、
そんな都合のいい状況が作れるとも思えない。
幸太郎が丘を回り込んで、隠れて状況を確認しようと思った時、
金属の音が止んだ。戦闘は終わったらしい。
・・・つまり、どちらかの陣営が全滅、または降伏したわけだ。
幸太郎が闇と小さな茂みに隠れて状況を見ると、
焚火の光の中に死体だらけの光景が見えた。
少なくとも10人以上が死んでいる。
逆に生きている人間は5人。人相が悪い。おそらく盗賊だろう。
血に染まった剣を持っている。
(まさか、地上に降りて最初に会う生きた人間が盗賊とは・・・)
溜息ついていいですか?
倒れている人の中に、盗賊より若干身なりがいい者がいる。
この人たちが襲われた側らしい。それにしても、
そっちも盗賊に劣らず人相が悪い。エミール殿下とは大違いだ。
肩パッド作ったら『ヒャッハー!』とか言いながら
たくさん買ってくれそうな気がした。
幸太郎はもうすることが無いと思い、引き返そうとした。
だが、生存者はもう1人いたのだ。馬車の中から女の子の悲鳴が聞こえた。
盗賊は馬車の中から檻を引きずりだしてきた。
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