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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ
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領主からの依頼 52


明日はキャサリン支部長も一緒にグリーン辺境伯の屋敷へ行く約束をして、



幸太郎は支部長室をあとにした。





「さて・・・」





「賞金首掲示板を・・・」





「見てみようよ・・・」





幸太郎たちはその掲示板の前に行ってみる。ここはあまり人が



見に来ない掲示板だ。冒険者ならとりあえず毎日見に来るが、



賞金首が何処にいるかアテが無ければ動きようが無いし、



そもそも人相書きさえ無い物もある。だから見には来るが、



心当たりが無ければ、そのままスルーされるのだ。





なお、『賞金首掲示板』と呼ばれてはいるが、



『誰々を探しています』という依頼もここに張られている。





その掲示板を見た幸太郎たちは驚いて固まっていた。言葉が出ない。



『荒野の聖者』がバレたため、シャオレイが『賞金がかかってる』と



遠回しに教えてくれた。だから『それ』はいい。





掲示板には『3つ』幸太郎に関する賞金がかかっていたのだ。








『黒フードのネクロマンサー。


賞金・金貨500枚。若い人族の男。


エルロー辺境伯を殺害。オーガス教、リーブラ教への冒涜的発言。


依頼人はオーガス教、リーブラ教の聖堂騎士団連名』





『荒野の聖者。


賞金・金貨300枚。若い人族の男。オーガス教、リーブラ教の


許可を得ずに勝手に聖者を名乗る。神への冒涜者。


依頼人はオーガス教、リーブラ教の聖堂騎士団連名』





そして、最後、3つ目。





『ナイトメアハンター。


若い人族の男。人の身でありながら悪魔を狩る者。


アルカ大森林そばに発生したダンジョン深層部にて、


出現した悪魔を撃滅。


B級冒険者の証言あり。現在消息不明。聖堂騎士団へ迎えたいので、


知っている者は連絡されたし。謝礼として金貨50枚を進呈』





最後の『ナイトメアハンター』だけは2枚紙が貼ってある。



それぞれオーガス教、リーブラ教が別々に賞金をかけていた。








幸太郎は『密室』を使い、全員で顔を見合わせた。





「これ・・・全部、ご主人様のことですね・・・」





「いや、なにこの『ナイトメアハンター』って・・・。


B級冒険者の証言ってことは、ジャンジャックとグレゴリオ殿か・・・」





「幸太郎サンの名前は出さないって約束だから、


代わりの偽名なんだろうね・・・」





幸太郎は頭を抱えた。脳裏に『ニカッ』と笑う



ジャンジャックとグレゴリオの顔が浮かんだ。



悪気はないのはわかっている。





「まあまあ、幸太郎サン。新しい伝説が増えただけで、


実害は無いからさ・・・」





「似顔絵も無いから、ご主人様にたどり着くことは


無いと思います」





「まあ・・・な。これら全てはあくまでも『情報求ム』って


意味合いで出された依頼だろう。


そしてバルド王国からの依頼・賞金が一切ないってことは、


教会を焚きつけたのはバルド王国だな。


表向き静かにしといて、裏から手を回そうってことか。


為政者らしい、嫌な性格の奴がいるようだ」





バルド王国のランブロフ宰相から見れば、幸太郎も相当



『嫌な性格』をしているはずだ。人のことは言えない。





『とにかく、見に来て良かった』と幸太郎、モコ、エンリイの



意見は合致。シャオレイに感謝した。何しろ幸太郎たちは



金に困っていない。エルロー辺境伯とブロトから強盗した



お金に加えて、ダンジョンで得たお宝が大量にあるからだ。



小狼族の村に置きっぱなしの金貨だけで24000枚もある。



幸太郎の『マジックボックス』の中にも金貨は1000枚以上。



イチイチ『賞金首』など探す気は無い。





この3人は賞金首掲示板には、まるで興味が無かった。



だからシャオレイに言われなければ、何か月たっても、



1度たりとも見に来なかっただろう。





(ギブルスさんがアルカ大森林に来た時『賞金はかかっていない』と


言ってたから、かけられたのは俺たちが成仏大作戦と


修行している間かな。


まあ、『ナイトメアハンター』はジャンジャックとグレゴリオ殿の


提出した『報告書』の意図せぬ副産物だろう・・・)





教会から『幸太郎を殺せ』という依頼が2件。



『幸太郎を仲間に迎えたい』という依頼が1件。



奇妙なことになったと、幸太郎は溜息をついた。








「幸太郎、片はついたようじゃのう」





ギルドの入り口にギブルスが来ていた。





「昼飯でも食いながら、話を聞かせておくれ」





そして、ギブルスは『ひっひっひ』と笑う。



さすがにギブルスに突っかかる冒険者はいない。



明らかに冒険者ではないし、何よりこのカーレでも



『変人』『豪商』『お得意様』として有名だ。





「いいタイミングで現れますね。さすがです」





幸太郎は苦笑しながら内心舌を巻く。おそらく幸太郎たちが



グリーン辺境伯の屋敷から出てきたという報告を



誰かから受けていたのだろう。








ギブルスの新しい店に案内された。なんと『うどん屋』である。



店の奥の従業員用の食堂で『新作』がふるまわれた。



この新しい店で働いているのは、幸太郎が自分の都合で解放した



『元・奴隷』の女性陣だ。すっかりいい笑顔になっていて、



幸太郎も安心した。いままで苦労した分、



きっとこれからは幸せが来るだろう。





新作1つ目は『ステーキうどん』だ。



うどんの上に分厚い牛肉のステーキが湯気を立てて



乗っかっている。すごいボリューム。





2つ目は・・・『デザートうどん』・・・。



まさかまさかの『甘いうどん』だった。細い麺のうどんに



リプタの実のジュース。それにオレンジジュースと



ライムの果汁を少々、そして『砂糖とハチミツ』を



ちょっと加えてあるようだ。上にカットしたメロンとブドウ。





幸太郎は度肝を抜かれた。





(・・・むぐうう・・・。このステーキうどんの


ボリュームたるや・・・。そして、すでに出汁の取り方が


俺よりはるかに上手くなっている・・・。ウマイ!


醤油が欲しい所だ。これのソースに醤油が使われたら


鬼に金棒だろう・・・。どうにか作れないかな?)





そして『デザートうどん』にも驚かされる。





(い、意外と、悪くない。 細めのうどんにジュースが


からんで・・・甘い。オレンジとライムの柑橘系の甘さと


爽やかさ・・・。悪くない・・・。


しかし、よもや・・・よもや、『甘いうどん』などというものが


誕生しようとは・・・)





異世界、恐るべし。





ただ、ここまでくると『邪道』として香川県人が



次元の壁を引き裂いて、雄たけびを上げながら、



この世界へ乱入しそうではある。










(C)雨男 2024/03/12 ALL RIGHTS RESERVED






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