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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ
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領主からの依頼 17


 見張りの4人全員を縛り上げ、猿轡を噛ませる。



ゲロまみれの男は幸太郎が『洗浄』をかけた。



あばらが折れた男を除き、3人が失神している状態だ。



とりあえず全員を小屋へ運び込み、戸を閉める。





(さてと、まずは心を折らないと・・・)





幸太郎はあばらが折れた男の猿轡を外した。





「お前たちと黒幕の貴族を繋ぐ、『連絡係』はどこだ?」





見張りの男はニヤリと笑う。





「お前たちに話すことなど、何もない」





そう言うと、男は舌を噛み切った。



幸太郎は予想していたものの、やはり実際に目の当たりにすると



少しショックだ。あんまり見たくはない。





舌を噛み切ると、舌がの筋肉が激しく収縮する。その結果、



気道を塞ぎ、また大量の出血もあり『窒息』して死ぬ。



見張りの男は見事な覚悟を示し、自決した。





・・・まあ、幸太郎には無意味だが。





幸太郎は『陽光の癒し』で男をあっという間に治した。



男は再び元通りになった自分の舌に驚き、目を白黒させている。





「モコ、エンリイ、見張り全員を起こしてくれないか?」





モコとエンリイは縛り上げた見張りの頬を叩き、



3人とも目覚めさせた。





「ありがとう。じゃあ、ちょっと拷問するから、モコとエンリイは


外に出ていてくれ」





「嫌です」





「ボクも嫌」





2人は一刀両断でバッサリ断った。幸太郎は困惑した表情を浮かべる。





「・・・い、いや、あのね、俺はこれから、こいつらに


拷問を・・・。女の子が見るようなものじゃ・・・」





「嫌です」





「ボクも」





幸太郎は困り顔だ。幸太郎としてはモコとエンリイに見せたくない。



どちらかと言うと、自分の汚い部分の方こそ見せたくない。



100%我儘ではあるが。



幸太郎は1つ溜息をつくと、モコに命令した。





「だめ。モコ、命令だ。エンリイを連れて外に出てなさい」





「嫌です」





「ボクも」





幸太郎は思い出した。そう、『隷属の首輪』を壊したままだ。



モコに一切命令が出来ない状態・・・。幸太郎は忘れていた。



幸太郎の頭はぽんぽこぷーである。





「ぐ・・・。わ、わかったよ・・・。でもかわいい女の子の


見るようなモンじゃないからね・・・?」





幸太郎が折れるしかない。単純な腕力なら幸太郎は



モコにもエンリイにもかなわないから。



ケンカしても押し倒されるのは幸太郎の方。





一方、『かわいい』と言われてモコとエンリイはちょっと嬉しい。



モコの尻尾が『もさこら、もさこら』と左右に揺れる。



エンリイの尻尾も『うにゃうにゃ』と揺れる。





「あ、ごめん。変な所見せちゃって・・・。


じゃあ、ちょっと拷問するから、申し訳ないけど、よろしく」





幸太郎は見張りの男に謝った。奇妙な構図だ。



見張りの男たちは突然の茶番劇に対し、



どんな反応をしていいのか分からず、固まっていた。





「さて、まずはお前たちの上役について教えてもらおうか」





幸太郎の質問に、我に返った見張りの男は再び舌を嚙み切った。



しかし、無意味だ。またもきれいさっぱり治ってしまう。





「か、回復魔法!? だが、そんな、こんなことが・・・」





男は大量の汗をかきながら、再び舌を噛み切った。



もちろん、再び舌が元通りになる。





「ううっ・・・」





見張りの男が絶望の表情を浮かべた。それはそうだろう。



自分の舌を噛み切るのが痛くないわけがない。死ぬほど痛いに決まってる。



それを、3度。見張りの男が、どれほどの覚悟で舌を噛み切ったのか。



それに対し、幸太郎は平然と治してしまう。





「どうした? もう満足したのか? 遠慮はいらんぞ。


さあ、仲間たちにカッコイイとこ見せてやれよ」





「う・・・う、うう、くそお!」





見張りの男は涙目になりながら4度目の自決。



そして、4度目の『舌の再生』・・・。





この光景を見ていた仲間の見張りたちも、青ざめた。



状況が徐々に理解できてきたのだ。





卑怯なほどの作戦。自分たちほどの手練れがあっさり全滅、捕縛。



その上、自決したのに死なせてもらえない。



見張りたちは全員同じことを思った。





『計画がバレた。そして何かとんでもない大物が


出張って来たんだ・・・』





見張り全員の顔に『絶望』が浮かんだ。汗が止まらない。



幸太郎がニヤニヤと笑いながら話しかける。





「ん? どうしたの? 5回目いってみようよ。


あ、そうだ! せっかく4人いるんだし、全員で自決100回を


目指すってのはどうかな? なぁに、4人で分担すれば


すぐに達成できるさ。


お互い励まし合い、助け合って100回を目指そう。うん、名案!


さ、いってみよう!」





だが・・・もう見張りの男に5回目をやる気力は残っていなかった。



いや、4回やるだけでも凄まじい覚悟なのだ。



滅茶苦茶痛いに決まってるのに。



幸太郎は彼らの覚悟と行動を見て確信した。





(ここにいるのは単なる下っ端ではない・・・。


黒幕直属ではなくても、かなり上の方の奴らだ。


情報漏洩を防ぐために、かなり信頼できる者を配置してあるってことか。


情報を黒幕へ届ける『連絡係』も、かなりの手練れだろう・・・。


侮れん。『連絡係』の情報から聞き出すべきだな。


そうでないと足元をすくわれて、こちらが全滅するかも・・・)










(C)雨男 2024/01/02 ALL RIGHTS RESERVED






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