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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ
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領主からの依頼 3


「あなたが幸太郎?・・・ふーん、そんな腕のいいヒーラーには


見えないけど・・・。あなたはどこまで使えるの?


中回復魔法? まさか小回復魔法だけってことはないでしょうね?」





「私は師匠の作ったオリジナルの回復魔法しか使えません。


この魔法は薬と併用することによって、効果が跳ね上がるという


特殊な魔法になっております。多分、見たことの無いものでしょう」





幸太郎はナイトメアが『陽光の癒し』を知らなかったことから、



おそらく地上でこの魔法を知ってる者はいない、と考えている。



もし、知っているとすればオーガスくらいか。





「ふん、私が『見たこと無い』魔法ですって? あのね、


私は『マジックアカデミー』を優秀な成績で卒業してるの。


その私が知らない魔法なんてものを、一介の『新人』冒険者が使えるって? 


笑わせないで。・・・フランクさん、この男は詐欺師の可能性があります。


このままお嬢様の寝室へ連れていくことはできません」





シャオレイの反応は、至極当然だ。別にイキったり、見下しているわけではない。



非常に真面目な対応をしているだけだ。



若い女性、しかも領主の娘の寝室に怪しい男を入れるわけにはいかない。



ただ単に、それだけのこと。





「そうだな・・・。キャサリン支部長直々の推薦だったから、


詐欺師と言うことは無いだろうが、確かに、その『オリジナルの魔法』は


見せてもらいたいところだな。


幸太郎君、ここでその魔法を我々に見せてくれたまえ」





「わかりました」





幸太郎は快諾する。普通はこんな反応されるだろうと、



アルカ大森林を出る時から予想していた。





「色は匂えど散りぬるを・・・」





幸太郎が箸を取り出し、怪しい呪文を唱えると、



シャオレイは眉を寄せて怪しんだ。



それはそうだろう。幸太郎は『呪文』を唱えてはいるが、幸太郎の魔力は



静かなままで、平常時となんら変わりない。シャオレイが



聞いたことも無い呪文な上に、何の魔法式も感じられない。



そもそも魔法が発生する気配が全く無い。





(やはり、詐欺師か!)





シャオレイがそう思った時、幸太郎が『陽光の癒し』を唱えた。



美しい金色の光が、オーロラのように広がる。





「ほう・・・これは、なんと美しい・・・」





フランクが思わず感嘆の声を上げる。





「きれい・・・」





シャオレイも同じく、思わず声が出た。そして、額に汗がにじんできた。





(え・・・? 何? この魔法? ぜ・・・全然、魔法式が


読めない・・・。実際に見てるというのに、何1つ理解できない・・・。


使われている魔法式の1つさえ、想像もできないなんて・・・???


魔法であることだけは確かだけど、それ以外、全くわからない!?


どんな構造してるの!? 何の系統の魔法式をベースにしているかすら・・・。


そんな、そんな、そんなことが!? マジックアカデミーでさえ、


こんな魔法は・・・)





「どうかね? シャオレイ」





フランクが、ポカンとしてフリーズしているシャオレイを現実に引き戻した。



全然何もわからなかったシャオレイは、迷った挙句、見栄を張った。





「はい、問題ないと思います。とても綺麗な魔法でした」





「大丈夫か? 少し顔色が・・・」





「大丈夫です。お嬢様のことが心配で、少し。ですが、弱音を言ってる


場合ではありませんから」





必死に誤魔化すシャオレイ。



だが、シャオレイは幸太郎に聞かずにはいられなかった。





「幸太郎と言ったわね。あ・・・あなたの『師匠』って・・・?」





幸太郎はすでに答えを準備してある。もちろん、本人にも了解をとった。





「私の師匠は『バーバ・ヤーガ』と申します。今はアルカ大森林に


住んでおられます」





「ええっ!? バーバ・ヤーガって、『あの』バーバ・ヤーガ!?


『黄昏の魔女』と恐れられた・・・。本人!? 生きてたの!?


ローゼンラント王国が滅んだ時に行方不明になったと聞いていたけど・・・」





「ご存知でしたか?」





「魔導士を名乗る者で、彼女を知らない奴なんているわけないじゃない!」





「そうですか。師匠は、あまり過去を語りたがらないので・・・」





シャオレイは興奮気味にバーバ・ヤーガの異名、



『黄昏の魔女』の由来を話してくれた。










(C)雨男 2023/12/05 ALL RIGHTS RESERVED






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