あわせる顔がない
「私にも『復活』のスキルがあれば、
せめて仇は討ってやれたかもしれませんが・・・」
「あれはそんなに便利なものではありませんよ。先ほども言いましたが
一度死ぬと1時間くらいは目覚めません。その間は完全に無防備です。
状況が悪ければ、目覚めた瞬間にもう一度、本当に死ぬだけです」
「そうですね・・・。世の中そんなに都合のいい話はありませんか・・・。
いや、それでも、こうして幸太郎様とめぐり合って、
あの4人もやっと天へ旅立つことができるのです。
悪いことばかりでもありませんね」
「・・・もしかしたら、あちらの霊界でエミール殿下とマーガレット様が
お待ちになっておられるかもしれませんよ?きっと再び会えると思います」
「再び会う・・・ですか・・・。しかし、我々は殿下とマーガレット様を
お守りすることができませんでした・・・。
正直、今さら殿下とマーガレット様には会わせる顔がございません・・・。
とんだ恥さらしです・・・」
「いいえ、そんなことはございません。
殿下はきっとカルタス殿と会いたいはずです。
私が保証します。この5人の騎士が命がけで戦った、
その至誠、必ずや殿下のお心に届いているはずです」
「幸太郎様・・・。ありがとうございます」カルタスはうつむいた。
その時、幸太郎の体が白く光ると、
小さな光の玉が2つふわふわと飛び出してきた。
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