陛下にバレる?
「もちろん、コルトの馬鹿はこれで確実に時期国王だろうし、
王妃殿下はマーガレット様が王妃になる可能性を阻止できたわけだ。
大臣どもも利権獲得に忙しいだろうけどよ・・・」
「それもこれも、バルド王国が安泰ならば、の話だな。
おそらくすでにコルトの次の国王を誰にするかで貴族どもは
私生児の奪い合いを始めているだろうさ」
「誰か一人くらい、いないのかよ・・・王国の将来を憂うやつは・・・」
「国王陛下がいるだろう?」
「たぶん・・・今回の暗殺で希望を失って、早死にすると思うぜ?」
「まぁな。表向きは視察のさなか、盗賊に襲われて・・・と
発表されるだろうが、騎士団は当然気づく。
『カルタスを倒せる盗賊などいるものか』とな。
エミール殿下の護衛のうち4人が新人だったという話も当然広まる。
通常、最低12名の護衛がたった6名だったこともな。
誰がそんな決定を下したのか? 責任のなすりあいが始まるが、
王族の護衛を左右できる人間など数が限られている。
その結果、国王陛下はあっさり気が付くだろう。
これが『暗殺』で、誰が指示したのかを」
「え? おい、それってまずいんじゃないか・・・?
暗殺を実行したのが誰か、陛下にバレるんじゃないのか?」
「そうだな。バレるだろう。そもそもカルタスを倒して
王子を暗殺できるやつらっていったら、国王陛下は真っ先に俺たちを
思い浮かべるだろうな。国王陛下が俺たちを招集したら一発でバレる。
なにしろ現在3人しかいない。『いち』や『にー』もいないし。
そもそも俺たちは『王室付き暗殺部隊』なのだから
招集を拒否できないしなあ」
「おいおいおいおい・・・まずい、まずいぞ・・・」
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