誰も得をしない戦い
「貴族どもの考えはわからんよ。ちゃんとした教育を受けて
頭がいいように見えて、全く先のことを考えていなかったりなあ」
「王妃殿下は庶民同然のマーガレット様が王妃になる可能性が
どうしても許せなかったようだが、
エミール殿下を殺すことで娼婦の子供が国王になる可能性が生まれちまった。
これじゃあ本末転倒だろうに」
「そこまで考えていなかったか、どうしても自分の子であるコルトを
王位に就けたかったか、はたまた私生児は全て
『処分』するつもりだったのか・・・」
「処分たって・・・もう、王室付きの暗殺部隊は
カルタスたちにやられて残り3名だぜ。
一人はもう戦えないし、事実上相打ち同然じゃないかよ」
「・・・。『きゅう』よ。はっきり言って俺たちをカルタスたちに
ぶつけたのは最悪の選択だったと思う。暗殺部隊はこれで崩壊、
もう二人では仕事はできん。
王国はカルタスという一騎当千の駒を失った。
そして王国の未来のためにコルトを暗殺して
エミール殿下を王位に就けるという起死回生の方法も永遠に消えた・・・」
「だ、誰も得をしていねえじゃねえかよ・・・」
「コルトの愚かさ、貴族社会の愚かさが
全て噴き出したような事件になったな・・・」
(C)雨男 2021/11/07 ALL RIGHTS RESERVED




