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エミール一行、全滅
「ふう・・・やっと倒れたか」
黒装束の男の一人が馬車へ歩き出した。
その男の後頭部へカルタスが最後の力を振り絞ってナイフを投げた。
黒装束の男は後頭部にナイフを受け、ゆっくり倒れた。
倒れたカルタスに黒装束の男たちが近寄り、
何も言わずに剣をカルタスの首に刺した。
「あいつ、最後に油断しやがって・・・」
右腕を失った黒装束の男が馬車へ入る。だが何の音もしない。
馬車に入った男はゆっくり出てくると仲間へ向かって首を振った。
「殿下とマーガレット様は自決なされた。もう誰も生きていない」
ここにエミールの一行は全滅した。
カルタスはしばらくして『意識』が戻った。だが体は動かない。
何も見えない、『自分は死んだ』という実感だけが強くあった。
(殿下とマーガレット様をお守りすることができなかった・・・)
カルタスは強い後悔の念にとらわれた。
しばらくすると黒装束の男たちの『声』だけが聞こえることに気が付いた。
カルタスは真相を知ることになる。
(C)雨男 2021/11/07 ALL RIGHTS RESERVED




