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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 5
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ドラゴンタートル 3


 作戦の立案は5秒で終わった。



別に幸太郎の頭がいいと言うわけではない。ただ単に





『小細工が効かない相手』





だからだ。言葉で誘導することもできなさそうだし、騙すのも無理っぽい。



特に『鑑定』で『ドラゴニック・バリア』が



スキルでも魔法でもないとわかったのは大きい。



いつもの幸太郎の考え方なら、まずはなんとかして



『ドラゴニック・バリア』を解除しようとしていたはずだ。



だが、それはどうにもならない。



だから『それはそういうもの』として計算に組み込むしかないのだ。



そして殺す方法に制約がある以上、後はいかに効率よく、



必要な条件を満たしていくか・・・それだけしか無い。





そして、何より・・・時間がかかれば、かかるほど・・・



幸太郎たちが不利になっていく。





B級冒険者2名が、これだけ攻撃を叩き込んでいるのに、



相変わらずドラゴンタートルは傷一つ付いていない。



いや、『条件付き不死身』であるからには、



例え大ダメージを与えたところですぐに治癒してしまうはずだ。



具体的に言うなら、元の地球から重火器を大量に持ち込み、



ドラゴンタートルを粉々、バラバラにして



HP10000を削り切ったとしよう。



しかし、HPがゼロになったところで、条件を満たさない限り死なず、



短時間で再びHPが10000まで戻るという事である。



このダンジョンで今まで出現したコピーモンスターが、



総出でドラゴンタートルに挑んだとしても、



歯が立たないのは火を見るよりも明らか。





それが『ドラゴン』というものだ。





そして、先ほどからドラゴンタートルが壊した天井や壁、床も



あっという間に直っていく。ダンジョンも幸太郎たちを逃がす気など無い。



もちろん、幸太郎たちも逃げる気などないが。





武器の損傷や摩耗、仲間の精神的疲労も考えれば



『短期決戦』以外に勝ち目は無い。



時間をかけた所でダンジョンの中では



事態が好転する可能性など全くありはしないのだ。








「作戦はできた! 今から必要なデータを集める! 協力してくれ!」





幸太郎がジャンジャックとグレゴリオに向かって叫ぶ。



2人もそれに同意。実験開始だ。





「まずは、これからだ・・・」





幸太郎は大きく息を吸い込むと叫んだ。





「おい! バカドラゴン!! こっちを見ろ! 殺してやる!」





ドラゴンタートルは何の反応も示さなかった。



幸太郎の言葉には反応せずにジャンジャックとグレゴリオへ



襲い掛かっている。





(・・・む・・・これだけ待ってみても・・・


ジャンジャックとグレゴリオ殿の方しか気にしていないな・・・。


こちらを伺うそぶりさえ無い・・・)





これはドラゴンタートルが人間の言葉を理解しているのかを確かめたのだ。



幸太郎は『全言語翻訳』がある。ドラゴンタートルが言葉を理解する



知能があるなら、必ず何かの言語でドラゴンタートルには通じたはずなのだ。





つまり、ドラゴンタートルの知能は獣程度ということになる。





そして、もし『理解できないふり』をしていたなら、



幸太郎が『殺してやる』と叫んだ以上、その後の幸太郎の行動が



絶対に少しは気になるはずなのだ。幸太郎が全く動きを見せないのなら、



『なぜ動きが無いのか』1度くらいは幸太郎の様子を見ないとおかしい。





だが、ドラゴンタートルはさっきから幸太郎へ何の注意も払っていない。



ジャンジャックとグレゴリオ相手に激しい戦いを繰り広げている。





(これは朗報だ・・・。作戦を大声で伝えても問題ないってことだな・・・)





第一段階クリア。次はいよいよ攻撃面での検証だ。



ここからはかなり危険がつきまとう。








「次の検証に入る! まずはジャンジャックからだ!」





幸太郎はジャンジャックとグレゴリオに作戦内容を伝えた。全て。



もう、ドラゴンタートルにバレる懸念は無いので



全員が、全部知っておいた方がいい。





「・・・わかった! 幸太郎、順番に手早く済ませようぜ!」





幸太郎はモコとエンリイの顔を見た。緊張している。



2人ともゴクリと喉を鳴らした。



モコとエンリイにもかなり危険な役を担当してもらう必要がある。





だが、はっきり言えば、一番危険なのは幸太郎だ。



情けない話ではあるが、モコとエンリイの護衛無しという状態になる以上、



幸太郎は自力で逃げ回るしかない。



幸太郎は一応時計塔の後ろをネズミのように逃げ回ると言う案を考えている。





「じゃあ俺からだ! 『オーラスマッシュ』!!」










(C)雨男 2023/06/11 ALL RIGHTS RESERVED






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