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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 5
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ドラゴンタートル 2


「ゴリオ! そっちはどうだ?」





「硬すぎるな! ハンマーが変形してきた! タワーシールドもだ!」





「こっちもバトルアックスの・・・チッ動きが速ええ・・・


ブレードが平らになってきたぜ!」





「やはり・・・おっと!・・・まともな攻撃では


『竜鱗』は砕けないようだ!」





「同感だ。『オーラスマッシュ』か『グラビトンハンマー』だな!」





しかし・・・。





どちらも無限に使える攻撃ではない。リスクも高い。



『オーラスマッシュ』はジャンジャックの生命力を攻撃に上乗せできる。



凄まじい威力だが、もし、生命力を全て注ぎ込んだ場合は即死してしまう。





『グラビトンハンマー』は使用時にグレゴリオの魔力を使う必要がある。



魔力が尽きるまで使った場合、グレゴリオは昏倒してしまう。



これは『大鉄人』を発動していても防げない。



このバケモノ相手に昏倒、失神してしまえば



数秒以内に喰われるか、ぺしゃんこだろう。





頭を潰すか切断し、バカでかい甲羅を破壊。



そして内部の肉をかき分けて心臓を探し出し、切り刻むか潰す・・・。



これだけの工程を短時間で行わなくてはならない。





『オーラスマッシュ』と『グラビトンハンマー』だけでは



どうしたって手数が足りないのだ。





「・・・こうなると・・・うぉっと、危ねっ! 


・・・デカいくせに速いぜ、このドラゴン!・・・


こうなると、『冥界門』と、幸太郎の作戦に、期待するしか、


・・・こいつ、調子にのるなっ!!


期待、するしか、ねえな!」





「ああ、俺たちは、このバカでかい頭を、引き付けることに、


・・・ぬんっ!! ・・・引き付けることに徹しよう!


・・・幸太郎殿! どうだ!? 『鑑定』で何か弱点はあったか!?」





「今、『鑑定』した! すまないが少し時間をくれ!!」





ジャンジャックとグレゴリオだけでは手が足りない。



『冥界門』が必要だ。



と、なると作戦の立案は幸太郎に委ねる他ない。





すでにこのパーティー全員が、



幸太郎の立てる計画には信頼を寄せていた。



役割の分担。それが『パーティー』というものだ。








一方、幸太郎は混乱する頭を、必死に整理する。





(遺伝子・・・操作!? なんだ? 誰が? 悪魔の仕業か?


竜の遺伝子を操作って、どこで? そんな設備が?


・・・い、いかん、それは今必要ないっ)





幸太郎はおっさんのスキル『自分の事を棚に上げる』を使い、



今必要ないものを全て棚上げすることにした。



今はそれらの情報は邪魔でしかない。



幸太郎は自分を棚上げするスキルの奥義、



『2人の自分』を使った。





『おい! 俺と交代しろ!


遺伝子操作に関することは、全てお前に任せる!


現場は俺が担当する! 頼むぞ!』





『わかった、現場は頼む! 遺伝子操作に関することは


一旦、俺が全て預かる!』





幸太郎は自分の脳内で、まるで1人演劇のような会話を繰り広げた。



一見バカみたいな行動だが、効果は絶大だ。



遺伝子操作に関する混乱は一旦すべて



『もう1人の自分に預けて』封印できる。



『おっさん力』の真骨頂の1つだ。





(今、必要なのはこのバケモノを殺す方法・・・。


ジャンジャックとグレゴリオ殿の力だけでは手数が足りない。


『冥界門』が必要だ。


そして、モコ、エンリイにも力を貸してもらわねば・・・)





その時、ドラゴンタートルの頭が大きく息を吸い込んだかと思うと、



ガバッとアゴを開いた。何か光るものが集まる。



すると口の中に巨大な水の玉が現れた。





「ちっ!『水槍のブレス』かよ! いよいよ来たな!」





その頭はジャンジャックに狙いを定めた。



・・・かに見えたが、



ドラゴンタートルはいきなり『グルッ』と頭を回して、



幸太郎へ向けて発射した!





「「!!」」





エンリイは幸太郎の頭を胸に抱えるようにして引っ張り、



モコは幸太郎を押し倒すようにして『水槍のブレス』を躱した。





3人は折り重なるように床へ倒れたが、



おかげでなんとか『水槍』は躱すことができた。



『水槍』の当たった壁はガラガラと音を立てて崩れている。





「すまん、助かった!」





「幸太郎サン、早く立って! 次が来るかも」





「ご主人様、攻撃は私とエンリイで警戒します! 作戦の方を!」





ドラゴンタートルは『水槍』が外れたが、



大して気にしていないように見える。



つまり、『いくらでも撃てる』ということだ。





「幸太郎! 無事か!?」





ジャンジャックはドラゴンタートルの頭が幸太郎へ向いた瞬間に、



首の中ほどあたりにバトルアックスを叩き込んだが、



やはり傷一つ付かなかった。頑丈にもほどがある。





「ああ、大丈夫だ!・・・地下なのに『水槍』は笑えない威力だな」





「おそらく、ご主人様と同じだと思います。水のエレメンタルは


少ないはずですが、強力な魔力で補っているのでしょう」





ダンジョンは地下にあるので水のエレメンタルは少ない。



だが、全くいないわけではない。地球という惑星の上である以上、



何か1つのエレメンタルが全く欠けた環境など、ありえないのだ。





大気中でも土のエレメンタルは存在するし、



火の中にも水のエレメンタルは存在する。少ないだけだ。





『水を含まないものは燃えない』





逆説的な言い方だが、言いえて妙だ。幸太郎もこの地下にある



ダンジョンで生活魔法の『飲料水』をちゃんと使っている。



それは『太陽神の加護』という無限のバッテリーが



足りない力を補っているからだ。



ただし地上に比べて、わずかに



魔法が完成するのに時間がかかっている。





(今ので貴重なデータが取れた・・・。


おそらく『水槍のブレス』は地上で撃つよりも、


はるかに発射までに時間がかかっているんだ・・・。


そして連射もできない、つまり・・・『水槍のブレス』は・・・


避けれる!!)





幸太郎は『最初の足掛かり』を得たように感じた。



どうしても欲しかったデータだからだ。



相手のデータを揃える。それは作戦に必要不可欠なものだ。










(C)雨男 2023/06/09 ALL RIGHTS RESERVED






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[一言] 続きがめっちゃ気になる!
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