カルタス、倒れる
馬車の中で悲鳴があがった。
ついに黒装束の男たちが新人4人の騎士を倒して
馬車の入り口にとりついたのだ。
カルタスが馬車へ駆け出す。新人4人は3人の黒装束を
倒したところで力尽きたようだった。
これほどの手練れに毒薬、よく3人も倒せたものだと褒めてやりたかった。
馬車の入り口の黒装束をカルタスが斬る。ここを一人で守らねば。
だがカルタスの背後から突然『魔法の矢』が突き刺さった。
左の肘、左の膝、右の脇腹・・・。
驚くべきことに黒装束の男のうち2人が『魔法の矢』を唱えたのだ。
今の今までずっと魔法が使えることを隠していたとは!
仲間が何人死んでも顔色一つ変えずに手札を温存していたのだ。
カルタスは黒装束の男たちに敬意すら感じた。
ここまで自分たちに対して高い評価と、念入りな準備をしていたとは。
カルタスが7人斬り、新人たちが3人斬った。残りは5人。
しかしカルタスは諦めるわけにはいかない。
『殿下とマーガレット様を守らなくては』
視界も怪しくなってきたカルタス。襲い掛かる二人のうち
片方の右腕を切り飛ばす、そしてもう片方の男の腹を剣で突いた。
その瞬間、カルタスと黒装束の男の二人を稲妻が覆った。
腹を刺された男が口の中に『雷』のオーブを仕込んでいて、
それをかみ砕いたのだ。
(道連れの自爆とは・・・)カルタスはついに倒れた。
(C)雨男 2021/11/07 ALL RIGHTS RESERVED




