敵の正体
「コルト殿下の差し金か!!」 カルタスは叫んだ。
だが黒装束の男たちは全く何もしゃべらない。徹底している。
だがカルタスには執事が死んだ時点でわかっていた。
御者の恰好をしている執事が無詠唱で魔法を使えるほどの
高位魔術師と知っていたこと。
執事が常時展開していた『上級・魔法の泡』という
見えないシールドを貫通する矢を使用したこと。
戦闘中では確認できないが、あの黒い矢は『魔法無効』という
強い呪力を込められたものだろうということ。
そんな矢を制作するには高レベルの付与魔術と長い時間が必要、
そんなものを盗賊が持っているはずがないということ。
売ってしまったほうが割がいいからだ。
そして、最初に煙を使って視界を奪うことで、
執事に『魔法解除』を使うように仕向けたこと。
馬車全体に結界を展開する前に反射的に視界を取り戻すことを優先させた、
つまり執事の『最初の一手』を狂わせたのだ。
執事の死がすでに指し示していた。
『執事の正体を知っているのはバルド王国の上層部。黒装束の一団は
国家レベルの武装組織。その組織を使ってエミール殿下を
暗殺する指示を出せる地位の人間・・・』
コルトだった。
(C)雨男 2021/11/07 ALL RIGHTS RESERVED




