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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 5
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全滅 2


「やれやれですねえ」





ナイトメアがギョロっと大きく目を見開いた。



その瞬間、『見えない何か』が放射された。





ナイトメアから放射された『見えない何か』・・・



それは恐るべき威力だった。



スケルトンが溶けるように消えていった。



エンリイの分身も『ボン』という音と共に髪の毛に戻ってしまった。





続いてモコとエンリイが崩れるように、床へ倒れた。





そして、ジャンジャックまでもが、わずかによろめいた後、



ゆっくり床へ落ちた。





なんとか耐えたのは『大鉄人』を発動しているグレゴリオと、



『状態異常無効』がある幸太郎だけ。



そのグレゴリオも幸太郎も、どちらも



一気に汗が滝のように噴き出してきた。





失神しなかった幸太郎とグレゴリオには、



今、ナイトメアが何をしたのかが理解できた。



それは・・・。








『恐怖』だ。








ナイトメアは『恐怖』そのものを直接、魂にぶつけてきたのだ。



幸太郎とグレゴリオは滝のような汗を流しながら、震えている。



2人は正確には『耐えた』というよりも、



『大鉄人』と『状態異常無効』が無理やり失神を阻止しただけだ。





幸太郎は震える足でしゃがみ、いや、崩れるように膝をつき、



ジャンジャックに『陽光の癒し』をかけた。



なんとかジャンジャックを治さなくてはならない。



『離脱の杖』はジャンジャックが持っているからだ。



ジャンジャックが失神したため、



『マジックボックス』のゲートも閉じてしまっている。



『離脱の杖』が取り出せない。これでは『離脱』が使えないのだ。



幸太郎はあせった。





幸太郎は何度も『陽光の癒し』をジャンジャックへかけた。



だが、一向にジャンジャックは目を覚まさない。





「起きろ! ジャンジャック!! 起きろ! 


・・・幸太郎殿、なぜジャンジャックは目を覚まさないのだ?!」





「回復魔法に手ごたえが・・・無い! 死んでるわけじゃない、


体そのものには異常が無いんだ!」





ナイトメアはニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべ、またしゃべりだした。





「ほう、回復魔法ですか? しかもこれは高度で、かつ、美しい・・・。


いやはや、これもお見事。


しかも見たことの無い魔法ですね。ボウヤが開発したものでしょうか?


感心、感心。やはり人の努力する姿は美しいものです。


その必死な姿・・・胸にせまります。・・・おっと、そうだ、


がんばってるところ、大変申し訳ないのですが、


その倒れてる人にどれだけ回復魔法をかけても意味はありませんよ? 


あなた方にわかるように言うなら、


その人たちは魂そのものが麻痺しているような状態ですからね。


なんとなくでも、ご理解いただけましたか?


無駄な努力、ご苦労様です。


それにしても、ここまで来て逃げようなんて・・・。


せっかくこの私がここまで来て差し上げてるのに、


いくらなんでも、それは無粋というものではありませんか?


こんな機会は滅多に無いのですよ? 


今のように私の力を楽しんで下さい。


まあ、さっきのは私の力のほんの一端に過ぎないのですがね」





ナイトメアは『クックック』と、もう一度笑った後、続けた。





「いやはや、それにしても、2人も失神せずに耐えるなんて・・・。


いや、これは素晴らしい! 実に素晴らしい! 


カース・ファントムを倒しただけのことはあるようですね。


私はとても感動しています。涙が溢れそうですよ」





(くそ・・・よく、しゃべる、奴、だな・・・。


しかも、わざと、イラつく物言いを・・・しやがる・・・)





幸太郎はなんとか冷静に状況を分析しようとした。



しかし、どうしても心が乱れる。





これはグレゴリオも同じだった。ジャンジャックが一瞬で・・・、



そう、『震電』を使う間もなく気絶させられた所など初めて見たのだ。





『B級冒険者が手も足も出ずに失神』





これは人類のほぼ全てが、なす術も無いことを意味している。



グレゴリオはまだ相手の正体を知らない。



だが、すでに幸太郎と同様に、はっきりと感じていた。





『人類の上位者』・・・相手は人類の上位に位置する、



人を超越した存在だということを。










(C)雨男 2023/04/16 ALL RIGHTS RESERVED






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