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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 4
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なんか申し訳ない


 部屋の主は灰になったので、幸太郎たちは遠慮なく物色する。





「うーん・・・。本棚の本はみんな高等魔法に関係する


内容みたいだな・・・。


残念ながら俺にはさっぱりわからん・・・」





「幸太郎、この本だが、いくつかもらっていいか? 


これ、多分貴重なものばっかだぜ?」





「ああ、いいよ。俺には焚火の薪にしか使い道がないから」





「いやいや、幸太郎殿、これは燃やすのはもったいないものばかりだ。


『マジックボックス』に空きがあるなら、全て持って帰るべきだろう」





「そうなのか・・・どこかへ寄付するべきかな? 


じゃあ、残ったものは全て回収しておこう」





モコも、エンリイも本を適当に手に取り眺めている。



魔法の基礎を全く知らない幸太郎には理解できないが、



この2人は少なくとも幸太郎よりは価値がわかるのだろう。








幸太郎はふと、上段の方の端に、



本がわずかに飛び出ている部分を見つけた。





(もしかして・・・本の後ろに何か隠してあるのかな?)





本をどけてみた。なんとそこには3冊の本が隠してあったのだ。



しかもその題名が・・・。





ウォデガンス・ハイザマス著


『紳士の振る舞い 百問百答』





フンバルト・ウンデルゲン著


『デシジョンツリー方式でよくわかる 貴族のテーブルマナー』





そして、3つ目は。





スケベスト・オンナスキー著


『女性を絶頂へ導く48の奥義』





(・・・)





幸太郎は、なんかものすごく申し訳ない気がしてきた。





(あの・・・ブラッドリーとかいう吸血鬼・・・。


本気で貴族とかに憧れていたんだな・・・。


一生懸命勉強して・・・マナーとかも学んで・・・


人生の一発逆転のつもりで吸血鬼に『転生』することに


望みをかけていたんだ・・・。妙に人間臭いと思ったが、


もしかしたら転生したばかりだったのかもなあ。


頑張って努力したのに、俺が台無しにしてしまったのか・・・。


いや、なんか、本当に申し訳ない・・・ごめん・・・)





もちろん、吸血鬼などという人々に仇なす者を



許しておくわけにはいかない。



放っておけば、必ず犠牲者がでるのだ。



それに、吸血鬼化したということは『とっくに死んでる』わけだから



結果は変わらない。むしろ魂が砕け散る前に『成仏』したので



ブラッドリーにしてみれば『助かった』ともいえる。





しかし、幸太郎はブラッドリーの努力をオシャカにしたことに、



ものすごく罪悪感を感じていた。



幸太郎はブラッドリーの名誉のために、その3冊の本を



素早く『マジックボックス』に隠した。そして合掌する。





(彼が次に生まれてくる時は・・・


どこかの貴族の家に生まれますように・・・)








他に隠されている本は無いようなので、



幸太郎は机の上にある優勝カップみたいな器に興味が移った。





見た目は本当に『背の低い優勝カップ』みたいだ。



両側に取っ手があり、器の下に台座がある。



その台座には大きなルビーのような宝石がはまっている。



高価そうだ。



そしてよく見ると、その宝石の下に左右に動かせる



小さなレバーがついていた。





幸太郎は鑑定してみた。そして思わず叫ぶ。





「欲しい! これ、欲しい!!」





幸太郎はジャンジャックとグレゴリオに聞いてみた。





「なあ、これ、もらっていいか?」





「いいも何も・・・。基本的にダンジョンで手に入るものは全て、


幸太郎とモコのものって約束だろう」





「そうそう。何より、そんなに持って帰れるのは幸太郎殿、


ただ1人なんだからな」





モコとエンリイも興味津々で見に来た。





「ご主人様、それなんですか?」





「幸太郎サンが何か欲しがるなんて珍しいね」





「ふふふ、これはスグレモノだよ! 


これはマジックアイテムなんだ。鑑定したら


『魔法の照明器』って表示された。


器の部分から炎が吹き上がり、室内を照らすのさ。


だが、これは暖房も兼ねているそうなんだ。


だから、こんなに大きいんだな。そう、大きい。


だからこそ、これにはもう1つ使い道がある・・・」





「あ! もしかして焚火の代わりになるんですね?」





「そうなんだ。これで料理できる! しかもこれ、


宝石の下のレバーで火力の調整ができるんだよ。こいつぁ便利だ! 


しかも魔力のチャージも簡単! これを作った人は天才だね!」





この『魔法の照明器』には『エイジア』という



赤い特殊な宝石が組み込まれている。



この器の両側の取っ手を持ち、『魔力充填』と唱えるか念ずれば、



わずか数秒で持ち主の魔力が流れ込み、チャージが完了する。



これはこの特殊な宝石の力である。





レバーを左端に動かせば、火は消える。右に動かせば炎が大きくなる。



これで火力が調節できるのだ。



焚火は火力の調整が難しい・・・というか、



当たり前だがガスコンロみたいにはいかない。





(今日、あとで早速料理に使ってみよう!)むふーん





幸太郎はダンジョンに来て良かったと思った。



不純な考え。幸太郎の頭はぽんぽこぷーである。










(C)雨男 2023/01/28 ALL RIGHTS RESERVED






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