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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 3
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ガンボア・トラウトのホットドッグ


 幸太郎は安全地帯に入ると、お茶を出してから、



夕食の準備にとりかかる。





「ジャンジャックとグレゴリオ殿は、


とりあえず盤兵遊かトランプで暇つぶししててくれ」





2人はポーカーを始めた。『役』を憶えたそうだ。





幸太郎は『今日は魚にしよう』と思った。



そう、ガンボア・トラウトだ!





ガンボア・トラウトはちょっと変わった魚だ。



別に奇妙な形をしているわけではない。



見た目は『大きなヤマメかアマゴ』といった感じ。



体の横にパーマークが鮮やかに入っている。しかし、1メートルはある。



日本では海に下ったヤマメやアマゴは、



それぞれ『サクラマス』、『サツキマス』と呼ばれ、大型化する。



パーマークがあるので見た目はサツキマスが一番近い。



ガンボア湖から流れる川で海に下っているのだろうか?





「ふふふ・・・こう見えても『カートップボーター・のら』さんの


動画はよく見てたんだ。魚くらいさばいてみせる!」たぶん





一応、ダンジョンへ潜る前に、ふり塩をして臭みをとってある



・・・つもり。うまくいってるのかの確認は時間の都合で諦める。



しかし、ガンボア湖の湧き水の中で生活しているせいか、



ガンボア・トラウトは全然臭みがない。



食べてるものに理由があるのかもしれないが。





ウロコを取り、魚の頭を落とし、ハラワタを取り出す。



『飲料水』と『洗浄』がとにかくありがたい。



少し生臭くなっても、『洗浄』一発でキレイになるのだ。



ありがたやー。





下手くそながら、なんとか3枚におろす。



皮をひき、寿司に乗せる短冊のように切り分けた。



骨のある部分をより分けるためだ。本当は毛抜きなんかで骨を



取り除くといいのだが、残念ながら、そんなものは無い。





できた薄い切り身に小麦粉をまぶして、フライパンで焼く・・・というか、



油で揚げる。いったんここまで。『マジックボックス』へ入れる。





フライパンの油で、今度は薄切りにしたニンニクをカラッと炒める。





長めのコッペパンに切れ目を入れて、バターを塗る。



ガンボア・トラウトのフライ、ニンニク、スライスしたトマト、



細かく切った毛長牛のチーズをはさみ、岩塩をパラパラ。



チーズがガンボア・トラウトの熱でとろとろに溶けてゆく。





ガンボア・トラウトのホットドッグでまず1品。





魚のアラでスープを作りたい。とりあえず、鶏ガラとハロハロのキノコで



出汁を取る。いい匂いがしてきたら、ガンボア・トラウトのアラを投入。



味噌が欲しい・・・が、仕方ない・・・。





一応魚臭さを抑えるために、しょうがを磨り潰して少し入れておく。



モコとエンリイは山育ちなので魚は苦手かもしれないからだ。





「うお・・・なんかめっちゃ旨そうな匂いがしてきた・・・」





幸太郎はずん胴鍋から立ち上る香りに驚く。



ガンボア・トラウトのアラは良い出汁がでるようだ。



日本で養殖できないだろうか?



肉も白身で美味しそう。寄生虫が怖いので、ここでは刺身にはしないが、



寿司とかにしたら人気が出そうである。





スープの具は、あえて少なくする。



出汁のうまみを感じて欲しいのだ。



具は先ほどのハロハロのキノコとほうれん草だけ。あとは塩をパラパラ。





ハロハロのキノコは万能出汁と言える。



見た目はブナシメジだから、もしかしたら



オルニチンもたくさんあるかもしれない。





そして、今日はガンボア・トラウトのホットドッグと



アラのスープだけにして、代わりに果物を多く出す。



スイカとメロン、リンゴ、ブドウ、リプタの実だ。



ホットドッグは物足りない人のために、バターとチーズ、



壺に入ったマスタード、ダークエルフ印の



マジックスパイスをテーブルに並べた。








「さあ、夕食にしよう」





幸太郎の声でスタート。幸太郎は、毎度おなじみ合掌してから食べる。





「っ・・・この・・・ホット・・・? 


うめえ!・・・バターを追加しても・・・、


チーズを追加しても・・・」





「この・・・スープ・・・が、信じ・・・られん・・・。


ラナ・ラルでも・・・こんな・・・旨くて・・・


上品なのに・・・濃い・・・」





「ほふほふまへへほのははほんなほいふぃひひゅーふも


ほほほほっふもひんひはれはい」





「エンリイ! もうっ、落ち着いて食べなさいよ。


食べ物は逃げないんだから。


赤ん坊みたいよ。ほら口のまわり、拭いてあげる・・・」





「ま、まあ、気に入ってもらえて良かったよ・・・。


それにしても、ガンボア・トラウトの身は


白身で実に上品な味わいだな・・・。鮎に近い気がする。


ちっとも生臭くない・・・。俺が料理してこれか。素材が良いんだな。


マジックスパイスを多めにふってスパイシーにしても、


身の味の妨げにならない・・・。


魚がいいのか、生息環境がいいのか・・・面白い魚だ・・・」








食後のデザートの果物は多めに切っておいた。



残ったら『マジックボックス』に入れておけばいい。



腐らないどころか、新鮮な状態を保てる。冷蔵庫より便利。



こいつはまさに『チート級』だ!





・・・が、何も残らなかった。



全部、ジャンジャック、グレゴリオ、エンリイが食べ尽くした。



市場で買ったメロンはスイカくらい大きい。



それをいくつも切って出したのに。嘘だろ・・・。










(C)雨男 2023/01/02 ALL RIGHTS RESERVED






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