婚約許可。幸せな日々
国王はエミールの婚約を許可した。
それはカイルの口添えだった。
カイルは『きっと王国の将来に良い影響を及ぼす』と
国王を説得したのだ。
国王にしても無理に反対するのは得策ではないと判断していた。
前例はなくとも相手が騎士爵の娘であることに変わりはない。
『玉の輿』として騎士爵の者たちは美談にするだろう。
文句を言う領主クラスの貴族はいるだろうが、
それも彼らの娘をカイルかコルト、
なんならそのエミールの側室に入れてやれば良いのだ。
国王はそのように楽観した。
エミールはマーガレットとの婚約の許可をもらって
より一層カイルの役に立ちたいと思うようになった。
婚約指輪をつけたエミールとマーガレットは警護の者を伴って、
領内の村や小さな町を視察するようになった。
体の強くないカイルの目や耳になろうとしたのだ。
何か問題があれば、すぐにカイルに報告した。またエミール自身も
問題解決の糸口を探るため書庫にこもったりもした。
そしてエミールが18歳、カイルが23歳、コルトが20歳を迎えた時
ついに運命の歯車は狂いだした。
この年。カイルとエミールが死亡する。
(C)雨男 2021/11/07 ALL RIGHTS RESERVED




