表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 2
573/1071

冒険者ランクの話


 ババ抜きは、わずか数ゲームで終わった。



というか、他のゲームに切り替えた。原因はモコである。



モコは顔に出るとかいう以前に、耳がぴこぴこ、しっぽがもさもさ。



・・・バレバレなのである。モコ自身に気づかれる前に、止めた、



というわけだ。次は無難な『大富豪』にしておく。








「ギルドでは誰も信じない・・・か。


ギルドには色んな奴がいると思ったが、あんまり変わった奴はいないのかな? 


そうだ、なあ、ジャンジャック。ロイコークたちの話にでてきた、


他の冒険者なんだけど・・・。


A級冒険者って、ジャンジャックやグレゴリオ殿より強いのか? 


確か、あー・・・、リーなんたらって人」





「リーティスラーナか? まあ、あいつは珍しく


A級冒険者って公開してるよな。普通はどうでもいいから、しないけど。


確かに、あいつは強いぜ? 氷の魔法を使うから


『青氷の支配者』なんて『そのまんま』のあだ名がついてる。


俺たちとどっちが強いかって言ったら・・・まあ、あいつの方が強いだろ」





「やっぱりA級のほうがB級より強いのか」





「ん? ああ、幸太郎は冒険者のランクもなじみがないんだな。


幸太郎はカーレでギルドカード取るつもりなんだろ? 


じゃあ、知っておいた方がいいな」





ジャンジャックが冒険者ギルドの階級について説明を始めた。





「冒険者のランクはA級、B級、C級、D級、E級、


そして『新人』に分けられている。


昔は『新人』が無くて、試験でE級に合格するかどうかだったんだけどな。


試験でイカサマするやつとか、試験官を買収するやつとかが多くてな・・・。


『実績』だけで判断することになった。


別に今の冒険者なんて何でも屋だからな、本当はなりたいなら、


全員冒険者になればいいんだ。


それぞれに合った仕事を受けてくれさえすれば何も問題はないんだが・・・」





「そうしない奴が多いってことか?」





「多い。実力に見合わない仕事を受けたがる奴は、なぜか多いんだよ。


単純に『どうせ危険な仕事をするなら、報酬の多い仕事を受けたい』


ってことなんだろう。


しかし、これはギルドにも死活問題だし、何より客が困る。


例えば、ゴブリン退治の依頼があったとしよう。


5匹程度の斥候隊を倒すってんなら、E級が2人くらいでも


なんとかなる。だが、ホブゴブリンや、ゴブリンウォリアーが


入ってると危険が増す。さらにゴブリンの巣穴を潰すとなれば、


逆にE級は邪魔だ。そして、もし、失敗すると


依頼してきた村とかが全滅しかねん。


しかしなぜか・・・なぜか、経験の浅い奴ほど


こういう仕事に首をつっこみたがる傾向があるんだ」





「つまり、見栄を張りたがるやつらが多いってことか。


そして、依頼人からすると


『失敗したから、もう一回やり直し』ってわけにはいかない・・・」





「その通り。依頼人には『次』が無い場合が多いんだ。


そして、ギルドにしても任務失敗が続くと、


ギルドの存続に関わる事態になってくる。


討伐任務が失敗するってことは誰か死ぬってことと思っていいぜ。


そして『あのギルドに頼んでも役に立たない』なんて噂が出たら、


もうおしまいだ。傭兵、私兵、そして新しいギルドが


うじゃうじゃ出現する。クランなんて呼ばれてる、


ギルド内ギルドが独立することも多い。


大昔は実際にあったんだよ。別々のギルドの冒険者が、


現場で任務そっちのけで殺し合いになることが」





「敵にしてみれば、大笑いってとこだな・・・」





「依頼人たちにしてみれば泣けてくるぜ。


敵はほったらかしで、味方同士で殺し合い。


勝ったほうも傷だらけ。もう敵と戦う力は残ってない。


みんな仲良く、村ごと全滅・・・」





「なるほどな。それで冒険者ギルドは互いに連絡を取り合い、


基本的に一切のことに中立って不文律ができたわけか」





「ああ、とにかく冒険者ギルド同士が争うのは、


やめようってことになった。


国の意向とかからも距離を置くことに、国自体も同意した。


そうしないと自国の兵士や騎士を送り込まなくてはならないからだ。


割に合わねえ。そして、各国のギルドは首都のギルドを『本部』として、


その他全てのギルドが『支部』として加盟することが


常識になっていったのさ」





「ふーむ。つまり、ちゃんと依頼の任務を成功させてくれないと、


依頼人もギルドも困る。だからインチキで入ってきたような奴らは


むしろ邪魔。それで試験は廃止されて実績のみで判断・・・


こういうことか?」





「そう。試験の代わりに『新人』というランクが新しく作られた。


ここで何種類かの任務をD級以上の冒険者と一緒にやるんだ。


基本的に『新人』が全滅しても、任務そのものは


D級が遂行できるように計算されてるはずだぜ? 


まあ、たまに『隣の町へのお使い』なんて


新人だけでやる任務もあるけどな。


ちなみに、この新人との任務はD級冒険者の方は無報酬だ。


報酬は新人だけに出る。その代わり、新人との任務は


D級がC級へ上がるための必要実績の1つに入ってる。


つまり後進の育成やギルドに貢献しない奴は


C級にしてやらねえって意味だ。はははは」










(C)雨男 2022/09/27 ALL RIGHTS RESERVED






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ