表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊 2
559/1074

ん~んん”~


「松明を嫌がるのも、当たりだな。全く大したもんだぜ、幸太郎! 


・・・でもよ、こいつら動きがあんまり早くないぜ? 


ちょっと松明で殴ってみよう。どうなるかな?」





ジャンジャックは一気に偽ゴーストとの間合いを詰めた。



偽ゴーストは後退するのが間に合わず、松明の攻撃を受けた。



幸太郎はすかさず鑑定してみる。





「むむ、やっぱり手ごたえはねえ、な・・・」





「いや、ジャンジャック、効果ありだ! 


今、『鑑定』を使ったらHPが3体とも『1』減った!


そのまま攻撃してみてくれ!」





「ほほう?」





ジャンジャックはニヤッと笑うと、松明でそのまま殴った。効果あり。



3撃目で、偽ゴーストは『魔石』になって転がった。





「おお、こいつはいいぜ! 剣より圧倒的に楽だし、


偽ゴーストは松明を恐れて、ほぼ反撃をしてこねえ。


対処方法がわかれば楽勝だな」





「ふむ、ゴーストにはゴースト。そして松明も効果あり、か。


どうやら地下6階もスムーズに探索できそうだな。


良かった良かった。はははは」





グレゴリオが笑った時、モコの鋭い声が飛んだ。





「魔法です!」





右側の通路の奥に、偽ゴーストが2体見えた。



そして、空中に何か丸いものが描かれると、



そこから火の玉が一直線に飛んできた。速い!





だが、モコがスモールシールドで『火球』を弾き飛ばす。



スモールシールドに貼られた木が少し焦げる。





「よし、一旦、上に戻れ!」





ジャンジャックが指示を出し、全員が階段を駆け上がった。



上に戻ると、幸太郎はモコのスモールシールドに『飲料水』をかけた。





「大丈夫か? モコ」





「はい、全然熱くないです。ちょっと焦げましたが、


木の断熱性って侮れないですね。


このスモールシールド、すごいです」





幸太郎は攻撃魔法を見るのは、エルロー辺境伯の雇われ魔導士が放った



『大火球』以来だ。



あの時はカルタスが難なく弾き飛ばしたせいで、



ちっとも怖くなかった。しかし、今回は初めて自分へ向けて



魔法が飛んできたのだ。幸太郎は正直なところ、ちょっとビビった。





「偽ゴーストには魔法が使える奴もいるんだな・・・。


それにしても、よく気が付いたな? モコ。


俺はさっぱりわからなかったよ」





「偽ゴースト自体は何の音もしないのですが、


さっきは『呪文の詠唱』のようなものが聞こえましたから。


でも、ご主人様、詠唱っていうか・・・なんか


『ん~~ん”~んん”~』


って感じの、なんか気持ち悪い・・・。


まるで口を閉じて、鼻をつまんだままで


変な歌を歌っているように聞こえました・・・」





「歌ぁ?・・・。うーむ、なんか気持ち悪いな・・・。


そうだ、ジャンジャック、さっきのあれは『火球』だよな? 


ジャンジャックも使えるって言ってたけど、そんな『ん-んー』


言ってるだけで魔法って使えるのか?」





「使えるぜ? まあ、偽ゴーストがどんな魔法式の


呪文唱えてるかは知らねえけどな」





「使えるんだ???」





「ああ、呪文の詠唱ってのは、同じ『火球』でも無数のパターンがある。


わかりやすく言えば、種族によって使う言語が違うだろ? 


でも同じ『火球』は使える。俺に『火球』を教えてくれた先生によると、


呪文の詠唱ってのは、キャンバスに絵を描くことに


似ているって言ってたぜ」





ジャンジャックの説明によれば、魔法は『呪文の詠唱』によって



絵を描くようなものだという。



例えばヒマワリの絵を描くとして、『先に輪郭を描く』か、



『先に色を塗った後、影を描くか』のように、



描き方は個人の好みで無数に方法があるらしい。



当然、筆も個人の好み。絵具も個人の好み。色合いも個人の好み。



パステルカラーでもいいし、水墨画もアリ。



しかし、出来上がった『絵』はどれもヒマワリ。



ただし、威力にはバラつきがある。



結局は『呪文の詠唱』で魔法の形を作り出し、



そこへ自分の魔力を込める。それだけだという。



魔法を構築する呪文の中身は『魔法式』とか『魔法術式』、



または単に『術式』と呼ばれて呼称は統一されていないらしい。



そして、ほとんどの魔導士が『我の方式が最適である』と主張して



統一される気配は全然ないそうだ。





「・・・というわけだから、『ん-んー』言ってるのも、


奴ら流の何か魔法式があるってことなんだろうさ。


『マジック・アカデミー』の奴らが研究にくるかもな。


なにせ初めての事例だしよ。もし、このダンジョンの事が知られたら


保護活動を始めるかもしれねえぜ? あははは」





マジック・アカデミーの人々はいわゆる



『スクインツ』という人々らしい・・・。










(C)雨男 2022/08/30 ALL RIGHTS RESERVED






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ