名前はカルタス・ランドール
幸太郎は好奇心に負けた。真っ暗な夜が危ないのは昨日、身に染みていたが
自我が残っている亡者に興味があった。話してみたい。
幸太郎はシェルターを出る決心をした。怖い。なにしろ時計塔は複数出せるが
結局同じ魔法なのは変わりがないので『消えろ』と命じると
全部一気に消えてしまうのだ。入り口だけ穴を開けるという小細工ができない。
幸太郎は念のためゾンビを2体召喚した。ゾンビはスピードは無いが
他に身を守る方法がないのだ。狼が来ないことを祈るよりほかない。
幸い、狼はいないようだった。恐る恐る近づく。腕組みしているガイコツの騎士に
『交信』を使って会話を試みる。
「こ、ここん、ばん、わ・・・」しっかりしろ中身42歳
ガイコツの騎士はピクッと動くと、ゆっくり首を幸太郎へ回した。
「ほう・・・? 貴殿は私が見えるのか? それに話もできるとは・・・。
いや、これは失敬。私はカルタス・ランドールと申す者。
いかがされた? 旅の人」
「私は、コウタロウ・ミツヤと申します。ゆえあって、太陽神さまの
仕事を申しつかっております。あちらで野営の準備をしておりましたが
皆様が遠くに見えたので、少しお話がしてみたくてお邪魔しました」
幸太郎は地上に降りてまだ二日だったが、
人と会話するのは随分久しぶりな気がした。
(C)雨男 2021/11/04 ALL RIGHTS RESERVED




