ガイコツの騎士
日が傾いてきた。時間は午後3時だ。
だいぶ成仏させたように思う。亡者が目につかなくなってきた。
ステータスを開くとレベルが12になっていた。
しかし、それより大変な情報があった。
「やばい、HPがついに減りだした。ほとんど何も口にしていないせいか・・・。
さっきのカカカの実、もっと食っておけばよかった」
『陽光』のおかげでHPは回復できる。
つまり極論すれば空腹では死なないことになる。
しかし、体力が減り始めるほどの空腹は危険なことに変わりはない。
最悪の場合、『陽光』の回復を上回るスピードの体力減少が起きるかもしれない。
それに何より、『陽光』を使っても空腹感は解消しない。けっこうキツイ。
幸太郎は決めた。明日からは成仏大作戦はいったん停止、町を探そう。
メシだ! メシ!! メッシィィィイイイイ!!!
幸太郎は早々に時計塔で4メートル四方くらいの
シェルターを作って夜に備えた。その後、何か食えないかと
近くを歩いたがヨモギしか見つからなかった。
・・・ヨモギ? この世界にもあるのか。いや、『全言語翻訳』が最適な
言葉に翻訳してるのだろう。洗って食べてみたが、本当にヨモギだった。
幸太郎はしばらく、草をもさもさ食べた。ないよりマシ。
幸太郎はシェルターに戻ると、入り口にも時計塔を出して塞いだ。
早々に寝ることにする。
(明日はとにかくどっちかへ一直線に進んで森を出よう・・・)
幸太郎は暗くなると驚くものを見た。少し遠い場所にぼんやり光る
ガイコツの騎士がうろうろ歩いているのだ。4人?
『霊感』をオフにしても、ぼんやり光ってうっすら見える。
しかし、幸太郎が本当に驚いたのはそちらではない。
一人だけ腕組みしたまま、うろうろ歩くガイコツの騎士をずっと見ている
ガイコツの騎士がいたのだ。
「わかる・・・。こいつは自我が残っている!」
(C)雨男 2021/11/04 ALL RIGHTS RESERVED




