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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとダンジョン破壊
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地下5階へ 5


『宝箱』は金貨1枚と銅貨6枚だった。なんか大幅な金額アップ。



やはり、比較的やさしい地下1階や2階は



『すぐに、また来なければならないよう』設定されているのだろう。



しかし、地下3階のポイズン・パピヨンは解毒ポーションが



必須条件の相手なので、結局ほとんど儲からないはずだ。



むしろ赤字になりかねない。幸太郎のような



『無限にヒーリングが使えます』なんて反則野郎は、



ダンジョンにとって腹の立つ相手だろう。





「よし・・・。OK。全員解毒と回復終わり。


・・・不思議なもんだな。ポイズン・パピヨンを倒すと


霧のような毒の鱗粉は全て消えてしまうのに、


人体に入った部分はしっかりと毒の効果を残している。


どんな仕組みなんだろうな?」





「いつか『ダンジョン・クイーン』を捕まえて聞いてみろよ。


今まで誰も見たこと無いから捕まえるのは無理だろうけどな」





「うーん。ダンジョンのどこに陣取っているのか、


どんな姿をしているかも不明ではどうしようもないか・・・。ま、いいや」








現代の日本からやってきた幸太郎にしてみると、



この世界の魔法などのテクノロジーはいくつか現代日本の



上を行ってるような気がする。せいぜい1キロ程度とはいえ、



空間転移できる『離脱』など、その最たるものだろう。



『ムウ・ラウラ・ワーロック』は間違いなく天才だ。








「お。もう1時か。ちょうどいい。そろそろお昼ご飯にしようか?」





「賛成!!」





エンリイが勢いよく手を挙げる。食いしん坊。





「確か、10時手前くらいから始めたはず・・・。


ちょうど3時間くらいやってたのか」





「あんまり苦労しなかったせいか、喉もあんまり乾いてねーな。


だが、休憩は計画的に取らないと、後で疲労がでてくるかもしれねえ。


昼飯食ったら、2時まで休みにしようぜ」








幸太郎がテーブルと椅子を出す。そして、紅茶と山盛りのパン。



昨日ポメラたちに作ってもらったステーキを出す。



『マジックボックス』に入れているので熱々だ。



ダークエルフ印のマジックスパイスとジャムもテーブルに並べる。





「うん。野菜もしっかり火が通っていて・・・


ニンジンなんか甘いくらいだ」





「この・・・へなふぁうひの・・・ふへーき・・・と、


パン、が・・・ほへも・・・」





「もう、エンリイ! 落ち着いてたべなさいよ。ほっぺがまん丸よ」





「たくさん買ってあるから、遠慮しないでいいよ」





幸太郎は『次からはスープも出した方が良さそうだな』と思った。



ジャンジャックとグレゴリオもバカスカ食ってるからだ。



少し水分で膨らませたほうが、健康にいいだろう。





それにしてもよく食べる。もちろんガッツリ買い込んであるから、



さすがに足りなくなることはなさそうだ。



しかし、今日帰ったら、パンは追加しておいたほうが安心な気がする。








満腹になった面々は、思い思いに座ったり寝転がったりしている。



幸太郎はベッドを出そうかと一瞬迷ったが、



せいぜい30分か40分なのでやめておいた。明日驚かせよう。





幸太郎は、ふと、この『安全地帯』と『離脱』を使って



ダンジョンのエレベーターが作れないか? と考えた。



名案だと思ってジャンジャックとグレゴリオに提案すると、



2人は寝転がったまま『ムリ』と答えた。



同じことを考えた人は昔からいたらしい。





「幸太郎の考えは昔から何度も試された案だよ。


ムウの死後、すぐにこの研究は始まった。


それが出来たら、もう苦労はしなくて済むからな。人類の憧れでもある。


しかし、集まったデータから、それは無理と判断されているんだ」





「幸太郎殿の考えは、『離脱のマジックアイテム』を複数用意して、


適当な階層の『安全地帯』に中継点を作ろうってことだろう? 


実際にやってみると、ある意味『可能』で、ある意味『不可能』なんだ。


で、結論としては『無理』だった」





「まあ、腹ごなしに順番に説明してやるよ。


まず『離脱』なんだが、ダンジョンの中では


6時間以内に3回までしか使えないんだ。理由は不明。


推測としてはダンジョンの中の空間が歪んでいるせいだと考えられている。


ちなみに地上では無限に使える。何度でも、同じ場所で


『離脱』は発動できる。


だが、ダンジョンではどうしても3回までしか発動できない。


3回使うと6時間のインターバルが必要になる。


実質『1日3回』って考えでいい。んで、4回目は発動した瞬間に、


周囲の景色が歪むだけで何も起きないんだよ。


そして、厄介なことに・・・ペナルティがあるんだ」





「ペナルティ? 何が起きるんだ?」





「4回目を発動させると、その時からおよそ24時間、


全く『離脱』が発動しなくなる。


これは数々の研究データが裏付けている。


実は若干時間にばらつきはあるんだが、理由はやっぱり不明。


まあ短くなることはあっても24時間を越えることはないんで、


冒険者の常識として『24時間使用不能』ってことになってるんだ」





「ふーん・・・。しかし、それでも6時間以内に3回まで、


つまりインターバル込みで実質1日3回までなら充分、


中継点として機能するんじゃないのか?」





「いやいや、話はまだ半分だぜ? 実は今の話は地下7階までの話なんだ。


真っ暗になる地下8階からは12時間に1回になる。


まあ、『1日1回』ってとこかな? 地下8階以降で


2回目の発動を行うと、およそ48時間、『離脱』は発動しなくなるんだ」





「ダンジョンが妨害してるってことか?」





「かもな。真相は闇の中だな。現在、全く推測さえ立ってねえ。


それこそムウだってわからないんじゃねーのかな?」





「なるほどね・・・。『ある意味、可能』『ある意味、不可能』で、


結論としては『無理』か。だいたい理解できてきたよ」





「? ご主人様。仮に1日1回でも、2日あれば、


ちゃんと往復できるってことなんですよね?


大人しく待っていれば、ちゃんと中継点として機能するのではありませんか?」





「モコ、それはダメだぜ? 理屈としては正しいが、現実には実行できねえ」





「なぜですか? ジャンジャックさん。


ちゃんと物資さえ用意しておけば2日くらい・・・」





「モコの言う『2日』は『幸太郎が迎えに来る2日』だろ?」





「あ!・・・。そ、そういうことですか・・・」










(C)雨男 2022/06/25 ALL RIGHTS RESERVED






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