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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 4
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アルカ大森林の市場を回る 12


 ドライアードたちが戻ってきた。エドガン、ヒガンも



『信じられん』と言っていたという。



今、彼らが作っている革の鎧はチェーンメイルとプレートアーマーの



組み合わせを圧倒的にしのぐ防御力を持っている。



それで耐えられない攻撃とは? エドガンとヒガンは



『ドラゴンでも出るんじゃないのか?』と言っていたらしい。





「あとで、また来てくれと言っておった。何か策があるようじゃ」








『全滅』に対する疑問はあるものの、一応予定通りの



行動をすることになった。



ジャンジャック、グレゴリオ、モコ、エンリイはダンジョンへ。



幸太郎、ギブルス、ドライアードたちは物資の買い出しに行く。



別行動だ。





特にモコはダンジョンへ行きたがった。自分が幸太郎を



守れないのではないかという不安がぬぐい切れないのだろう。



ジャンジャックも『今までとは状況が変わった』と言い、



積極的にモコに実戦をさせるつもりらしい。





ジュリアがモコたちをダンジョンに一番近い



森の端まで送るといって消えた。



夕方、ダークエルフの村のパン屋で落ち合うことにする。



モコが全滅については両親に黙っておいて欲しいといったからだ。



モコとバスキーを交代させる案もあったが、モコが反対したというより、



全員一致でバランスを重視した結果である。



夕方、お互い情報を出し合って口裏合わせをしようということになった。





単純な攻撃力なら『冥界門』でカルタスを呼ぶことができる。



しかし、それでも全滅するのならば、原因への対処は



『攻撃力の底上げでは補えないのではないか』との推測によるものだ。





とにかく幸太郎さえ生きていれば、『陽光の癒し』か



『破魔の陽光』で状況を打破できる可能性が高い・・・。



現状、そこに賭けるしかなかった。








幸太郎たちは、再び武器屋に立ち寄った。



エドガンとヒガンは作業の手を止めて顔を出してくれた。





「おお、幸太郎さん! 話は聞いたぜ。普通なら占いよりも、


俺たちの装備を信じたいところだが、あのバアサンは


親父の友達だったし、占いが当たるってのは、よーく知ってる。


さすがに笑うわけにはいかねえ」





「そこで、俺たちも、もうひと手間かけることにした。


『ジャングル・オオクマバチ』の革の鎧はタンクトップタイプに加えて、


手首から肩までを覆う腕ガードと、足首から膝上までを


覆うプロテクターを作ることにしたんだ。


軽いが、全身チェーンメイルより圧倒的に強い防御力があるはずだぜ」





「それと、これを貸してやろう。こいつは売り物じゃねえから、


ダンジョンから帰ったら返してくれよな? 


こいつは『アルカ・ヤママユガ』の繭から作ったシルクのマントだ」





それは美しいマントだった。わずかに金色の光沢を放つ白いマント。





「これは・・・なんて美しいマント・・・。


それに、何か強い力を感じる・・・。


エドガンさん、ヒガンさん、これを私に貸して下さるのですか?」





「こいつは俺たちのお袋が作ったマントだよ。


このマントは魔法に対して恐ろしい抵抗力を持っているんだ。


大火球を食らっても、焦げ目さえつかねえ。完全にはじき返す。


これで物理攻撃、魔法攻撃に対して、大幅なパワーアップだ! 


あのバアサンの占いも覆るだろう」





「ありがとうございます。必ず、生きて、これをお返しいたします!」





幸太郎は感謝の言葉を述べると、今度はお願いをした。





「実は、3つ。作って欲しいものがあるのですが・・・」





「「ほほう?」」





エドガン、ヒガンは幸太郎の提案に興味を示した。





「ほう・・・。長さは60センチくらい・・・。


片刃、反りをつけて・・・。なに?!


鉄を何度も折り返して叩き『目に見えない層を作る技法』・・・? 


『小太刀』? 幸太郎さん、あんた何者なんだ・・・」





さらに幸太郎は注文する。





「投げナイフの亜種か? 『十字手裏剣』? 


なるほど、全力で投げても、必ず刺さるってわけか・・・。


こいつは凶悪な武器だな。面白いぜ」





そして、最後に幸太郎は『水鉄砲』を作って欲しいと言った。



幸太郎は見本として、竹で作った水鉄砲を用意していた。



本当はのこぎりで切って作る予定だったが、



説明を聞いたモーリーが指をちょいちょいと動かすと、



竹が勝手に水鉄砲になった。





「この『シリンダー』の中の水を・・・。ふむ、


この布を巻いたのが『ピストン』か。


圧力で水が先端から噴射されるってわけだな・・・?」





「はい。これをもう少し大きく、金属で作って欲しいのです。


先端はノズルを付けて、より飛距離が欲しいです」





幸太郎はこれで『殺虫剤』を撒くつもりなのだ。



初めて見た魔物は、ギブルスの持っていた



はく製の『キラーマンティス』、そしてこの世界には



巨大な昆虫が多数生息していることを知った。



この世界にトウガラシなどがあるのかは知らないが、



ヨモギやハーブで、殺虫剤っぽいものは作れるはずだ。





これは幸太郎の秘密兵器である。相手が虫じゃなくても、



目つぶしに使えるだろう。










(C)雨男 2022/05/17 ALL RIGHTS RESERVED






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