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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 4
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アルカ大森林の市場を回る 5


「任せてくれ。幸太郎さんが満足する作品に仕上げて見せるぜ。


3時間もあれば完成するから、夕方にもう一度来てくれ」





「3時間?! ・・・なんて速さだ」グレゴリオがうなった。





「ダンジョン破壊に必要なんだろ? こっちを優先してやるよ。


じゃあ、始めるぜ。ミノウよ、手袋と籠手、スネ当てと、


腿当てを見繕ってやれ。カブトムシのがいいだろう」





そう言うとエドガンとヒガンは奥の作業場へ引っ込んだ。



すぐにハンマーの音が聞こえてくる。





「じゃあ、あとは売り場のものを出しましょう。


『装着』の魔法は使えますよね? なら、大丈夫でさ。


後はおいらに任せて下さい。えーと、まずは盾にいきやしょう。


幸太郎さんはラウンドシールド、そっちの娘さんはスモールシールドですね?」





ミノウは並んでいる盾から2つ取り出してきた。





「スモールシールドはこいつがいいでしょう。少し、値は張りますが、


基本構造はミスリル。軽くて頑丈、魔法にも強い耐性があります。


実はホーンズ山脈にミスリルの鉱床があるんで、とてもお値打ちに


手に入るんです。そして、ミスリルの上に樫の木の板を付けた二重構造。


さっき親方が言った通り、木製の盾は断熱性が金属を上回り、


金属と違って滑りにくいので『はじく』と『受け止める』の


両方をやりやすいんでさ。弱点は耐久性。硬くても木ですから


使えば削れていきます。しかし、『毎回張り替える』くらいの


気分でいれば扱いやすさは圧倒的に上です。おまけに基本構造は


ミスリルですから、万一、樫の部分が割れても、


盾として機能しなくなることはありません。


ただ、その場合は敵の攻撃が滑りやすいことだけは注意して下せえ」





モコは左手に盾をベルトで留め、持ち手を握って腕を振ってみた。





「軽い・・・。すごく軽いですね・・・。ミスリルってこんなに軽いんですね。


むしろ樫のほうが重いくらい・・・。気に入りました!」





「ミノウさん、ベルトなどの補修部品も、念のため買います」幸太郎が言った。





「幸太郎さんは慎重なお方ですねえ。おいらもうれしいですよ。


幸太郎さんには、このラウンドシールドがお勧めでさあ。実はこれは、


おいらが作りました。おいらは元々家具職人なんで木材の扱いは得意なんでさ。


このラウンドシールドは自信作です!


3種類の木材を複雑なパズルのように組み合わせてあります。


一見普通の木製ラウンドシールドですが、敵の攻撃の圧力を


シールド全体に散らすように組み合わせてあります。


ちょっと音が鳴りますがね。そして、中央部分は軽くて硬い


アルカ竹を何本も組み込んであります。


こいつはロングボウだって跳ね返しますよ! そうだ、幸太郎さんは


武器を持たないっていいましたよね。でしたら両手で持てるように、


ベルト部分の上下にひとつずつ右手で掴める取っ手を追加しておきましょう! 


両手で盾を固定できれば、強い衝撃にも簡単に耐えられますよ」





「それはありがたいですね。是非、お願いします。


・・・おおっ! 軽い・・・。


これ、多分、3キロくらいしかないですね・・・。こいつはいい」





「へへっ、そうでしょう? 軽くて硬い木と、軽くてやや柔らかい木を


組み合わせてあるんで、衝撃を吸収しつつも、軽くて頑丈、


スピーディーに取り回しがきくんでさあ!」





「気に入りました。モコの盾と合わせて、これらの盾を買います」





「毎度! それから籠手、スネあて、腿あては


『アルカ・オオカブトムシ』の前羽を使ったものが親方のお勧めです。


手袋はどうしても消耗品になりますから、数を買って下さい。


ウチの物は全て良品ですからご安心を!」





「これがカブトムシの前羽を使ったスネあて・・・軽い! 


そして、硬い! 凄いですね・・・」





「鉄より硬いので、ちょっとやそっとじゃ傷つきません。


加工はミスリルの工具が必須です。


ただし、ジャングル・ホッパーほどの弾力はありませんから過信は禁物です」





「でも、これ、いざという時は盾の代わりになりそうなほどの強度がありますよ」





モコは気に入ったようだ。それにしても、前羽の一部でこの大きさ。



このカブトムシは全長3メートルはあるのではなかろうか? 



3メートルのカブトムシだったら熊より強そうだ。





「では、これもモコの分と合わせて2セット下さい」





「あ・・・ご主人様、私、腿当ては無くていいです。


これを付けると走りにくそうで・・・」





モコは試しに付けた腿当ての素直な感想を言った。





「ボクと同じ結論になったわけか。ボクは棍で比較的遠距離の間合いだけど、


モコは少し心配だな」





「大丈夫さ、エンリイ。モコが怪我をしたら幸太郎に治してもらえばいい」





ジャンジャックはモコに賛成した。グレゴリオもその意見に賛成したので



腿当ては幸太郎の分だけになった。





「じゃあ、モコはこの後ダンジョンに行くから、早速装備をつけて行こう。


ミノウさん、私の分と親方たちが作ってる鎧は夕方まとめてもらいに来ます。


これ、前払いでお金を預けていきますね」





幸太郎は金貨100枚の入った袋をカウンターに置いた。ミノウはびっくりだ。





「いや、実は森の評議会から、お金を貸してもらったんですよ。


ダンジョンで手に入ったお金で返済するって約束で。


命がけになりますから、ケチってる場合じゃありません。


親方たちと、ミノウさんの作った最高の品が必要なんです。


では、ラウンドシールドの取っ手を追加する件、よろしくお願いいたします」





幸太郎は、ついでにミノウから家具の店も教えてもらった。



ミノウが以前勤めていた店だ。





幸太郎たちはエドガンとヒガンの武器屋を後にした。



次は護符。バーバ・ヤーガの店だ。










(C)雨男 2022/05/07 ALL RIGHTS RESERVED







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