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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 3
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ダンジョン事件のいきさつ 9


「『離脱』ってエルロー辺境伯が持ってた指輪の?」





「その通り。まあ正直、指輪に付与されてるってのは度肝を抜かれたよ。


そんな小さなものに『離脱』なんて付与したら、しょっちゅう


魔力を充填しなきゃならねえよ。エルロー辺境伯ってのは、


あきれるほど金持ちだったんだな」





ジャンジャックが魔法が付与された指輪と、杖の差について少し説明した。





魔法を付与すること自体は、高レベルの付与魔導士なら可能だという。



問題は『バッテリー』だ。使用者自身が高レベルの魔導士なら、



自分の魔力に接続することで常時使える状態にできる。



ただし、いうなれば水道の蛇口を開けっ放しにしているようなもので、



効率が悪すぎる上に、下手をすると自分の魔力が尽きて失神するという。





そのせいで、魔法が付与されたアイテムは魔力の供給源・・・



バッテリーを搭載して、自分の魔力は使わないようにするのが



一般的になっている。





『バッテリー』として使われるのは主に2種類。



杖などに呪文を書き込んで、そのアイテム全体に魔力を



蓄積できるようにするタイプ。もう一つは



水晶やルビーなど、宝石に魔力を貯めるタイプ。



高性能なのは宝石タイプ。宝石タイプは小型にできるし、



強い魔力が出力できるので人気がある。



が、高価なのが欠点だ。質のいい宝石を使えば、より高性能になるが、



当然一般庶民や貧乏冒険者には手が出ない。





そして、呪文タイプも宝石タイプも、ほっとけば貯めた魔力はどんどん



蒸発するように減っていく。これを止める方法は今のところ



『マジックボックス』に保管する以外には見つかっていない。





「まあ、なんで宝石に魔力が貯まるのかは、


マジック・アカデミーを卒業した魔導士にでも聞いてみればいい。


・・・丸一日くらいしゃべり続けてくれるぜ?」





「いや、結構だよ・・・。使えればなんでもいいよ・・・」





車を買って、いちいちエンジンルームの全ての部品を



理解しようという人はいないだろう。





「話を戻すが、『離脱の指輪』はものすごく燃費が悪いはずなんだ。


そもそも『離脱』の魔法自体がものすごい魔力量を消費する。


どのくらいひどいかと言うと、ダンジョンに魔導士が潜るときに、


わざわざ『離脱のマジックアイテム』を用意していくほどだ。


自分で『離脱』が使えても、それを使う予定だと他に何も


魔法が使えないほどに魔力量の温存を要求されちまう。


そして、『ちょっとくらいいいだろ』なんて油断して魔法を使うと


『帰れない』なんて事になりかねない。


『離脱の指輪』には高品質の宝石が使われていただろうが、


それでも、多分、毎日魔力をチャージしていたはずだぜ? 


もしかしたら指輪は2つあって、毎日交換していたかもな。


そんなモノを常時装備していたなんて・・・。用意するのも


維持するのもメチャクチャ金がかかったはずさ」





「もしかして、『魔石』の使い道って・・・


その魔力のチャージに使うのか?」





「ああ、それこそがムウの発見さ。いや、実に単純な方法なんだけどな。


マジックアイテムに魔力をチャージする方法は2つ。


自分で魔力を注ぐか、『魔石』を使うか、だ。


しかし、自分で魔力を注ぐ方法は誰もやりたがらない。


ムウが現れるまでは、それしかなかったけどな。


とにかく時間がかかるんだよ。


マジックアイテムと丸一日くらい、にらめっこなんて普通だったそうだ」





「丸一日で一個しかチャージをできないんじゃ、


それ以外何にもできんな・・・『魔石』だと、早いってことか」





「比べ物にならないほど早いぜ? しかも簡単。


『箱の中に魔石とマジックアイテムを一緒にいれておく』


これだけだよ。簡単だろ?」





「ええっ? ・・・そんだけなのか? ジャンジャック?」





「そんだけだぜ? 笑えるほど簡単だろ? 箱は、


できれば呪文を書き込んで処理されたものがベターだが、


ただの木の箱でもいいんだ。ちょっと効率が劣るだけでな。


例えばさっきの『離脱の指輪』と『魔石』を一緒に箱に入れる。


そんで2時間ほども置いておけば『魔石』は消えて、


指輪に魔力がチャージされてるって寸法だ。


・・・まあ、『離脱』を発動させるほどだと、地下1階や2階で


とれる『魔石』じゃ、何十個もいるだろうけどな・・・」










(C)雨男 2022/03/26 ALL RIGHTS RESERVED





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