合掌、即、成仏
幸太郎が気が付いた一つ目。それは『時計塔』がそのまま残っていたことだ。
幸太郎は意識を失ったのに、時計塔はそのまま消えずに存在していた。
11時14分。気絶していたのは1,2分か。
しかし、これは考えてみれば当たり前だった。
何しろ『時計塔』には目覚まし時計の機能が付いている。そう、これは最初から
術者が『消えろ』と命ずるまで消えない永続魔法だったのだ。
すごいよムラサキさん!
気が付いたことの二つ目。それは今更ではあるが
『自分が迷子になった』ことだった。
もう森の出口もわからない。見渡す限り森になっていた。
あかん・・・あかんで、これ。
幸太郎はとりあえず迷子のことは後回しにすることにした。
なぜなら、『霊感』をオンにしたとたん、あっちこっちに
亡者が見えるようになったからだ。
(とりあえず明るいうちは、成仏させて回るとしよう・・・。
仕事、仕事。まじめに仕事っと)
途中『陽光』を使って、MPを回復させながら10人ほど成仏させて回った。
『交信』を使って会話を試みたが、反応は3タイプに分類できた。
『全く無反応』『挨拶程度は反応あり』
そして多いのは『痛い!痛い!痛い!』とひたすら叫び、泣く者だった。
「まずい・・・あんまり亡者と『交信』してると気を病みそうだ・・・」
幸太郎はもう会話をあきらめて、『合掌、即、成仏』で
いくことにした。こうなると『霊感』がオン、オフ切り替え可能なのが
素直にありがたいと思えるようになった。
常時幽霊が見えて、声が聞こえたら絶対心が壊れそうに思えた。
(・・・霊能者ってスゲーんだな・・・)
(C)雨男 2021/11/04 ALL RIGHTS RESERVED




