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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 3
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エンリイと雑談 11


 エンリイはどんどん食べる。幸太郎はギブルスの屋敷で作って、



ちょっと余っていたうどんの麺を『マジックボックス』からとりだした。



野菜炒めに入れて『焼うどんモドキ』を作る。





「いい匂い~。幸太郎サンって不思議だね。知らない料理も作るし、


昨日の回復魔法も、桁外れだったし・・・。


ね、ボクからも一つ聞いていいかな?」





「んん? なんだいエンリイ?」





「幸太郎さんは昨日エリーの胎児を救ったけど・・・。


どうして何も要求しないの?


何も報酬を受け取っていないんでしょ? どうして?」





「ああ、いいんだよ。何か報酬の約束をしていたわけでもないし。


元々はクロブー長老の『回復魔法を見せてくれ』って話の


延長線だからね。何か苦労したわけでもなし、


お礼を言ってもらえれば十分さ」





「・・・ウソ。ボクは幸太郎さんが昨日ダークエルフの村へ来た時から


ずっと見ていたんだ。最初は『人族が見張りを縛り上げてこっちへ来る』って


聞いたから、ボクの出番があるかもしれないって臨戦態勢で枝の上で


待機してたんだ。でも・・・」





エンリイはキリッとした目で幸太郎へ向き直った。



でもほっぺたがハムスターで緊迫感はゼロ。





「幸太郎サンは長老へ事情を説明して、深々と頭を下げた。


見張りの縄もほどいて、正直拍子抜けだったけど、


ボクはその後もずっと幸太郎サンを疑って見張り続けていたんだ、


エリーの赤ちゃんが生まれるまで・・・。


そして、その後も幸太郎サンから目が離せなくなってさ・・・。


見ちゃったんだ・・・最後に幸太郎サンが


宿屋で力尽きて倒れるところ・・・」





「え?・・・見てたの・・・?」





「うん。あの宿屋はボクも泊っていたんだ。


枝の上で、新しく部屋にランプの光が入ってきた後まで見てたんだよ。


ボクも部屋に戻ろうとしたときに・・・


ランプの光の中で幸太郎サンがベッドに倒れるのを見たんだ。


なんか異様な倒れ方に見えた。そう、失神したように見えたんだ。


それで、窓に近寄って部屋の中を見たら、


幸太郎サンが真っ青な顔ですごい汗をかいてるのが見えた。


それで宿の親父さんに頼んで、幸太郎サンの部屋に


入れてもらったんだよ」





エンリイはその後、幸太郎の上着とシャツを脱がせて、



ずっと汗を拭いてやり、深夜まで看病していたという。





「幸太郎サンの魔法の時計? を見たら1時だったかな。


幸太郎サンが落ち着いて寝息をたてるようになったのは。


ランプを消したのもボクなんだよ」





「そ、そうだったんだ・・・。ありがとうエンリイ。


気が付かなかった・・・」





幸太郎は朝起きたら、確かに上半身が裸だった。



靴も脱いでいたし、ランプも消えていた。



だが、それは自分が憶えていないだけで、



夜中に目がさめて自分で消したと思い込んでいたのだ。



考えてみれば、確かに部屋の鍵がかかっていなかった。








モコが幸太郎たちの後方で唇を噛んでぷるぷる震えていた。



『自分がやりたかった』って顔してるなぁ・・・と



バスキーは苦笑した。










(C)雨男 2022/03/14 ALL RIGHTS RESERVED





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