表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 2
430/1070

若いねぇ


「見よう見まねでいいんだよ。この構えは、


君がこれから使いこなして、自分の構えにアレンジすればいい。


大事なことは正式なフォームじゃないんだ。


この構えを作った人の想いを汲むことなんだよ。


当然、この構えを編み出した人がいる。その人が、どんな思いで


この構えを作ったのか・・・、どんな願いを込めて、


どんな祈りをこの構えに託したのか・・・。


それに君が思いを馳せるんだ。そして、いつの日か、


この構えに君の祈りが込められた時に、


この構えは君のものになるだろう」





「む、難しくて、よくわかんないよ・・・」





「それでいいんだよ。好きなだけ悩むと良い。


『答え』というものは、探せば案外簡単に見つかるものだ。


だが、『道』は悩んだ者にしか見えない」





「う、う~ん、なんか上手く誤魔化されたような・・・?」





「良きかな、良きかな。まあ、俺はおっさんだからな・・・」








ふと、周囲を見ると、みんな『前羽の構え』をやっていた。



お通夜状態は解除されたようだ。



ギャラリーの中にいたシバが近づいて幸太郎に言った。





「いやあ・・・すごい勉強になったよ。色々反省した。


君がこの村に来てくれて、本当に良かった。ありがとう。


・・・バスキー、どうも俺たちは、いつの間にか


お前の強さに頼りっぱなしになって


平和ボケしていたようだ・・・。


なんか幸太郎君を見て恥ずかしくなった。


これからは村の男たちで改めて自警団を作って、


もっと剣の訓練をしようと思う。出直しだ。


力を貸してくれるか? バスキー」





「ふふ、水臭いことを言うなよ、シバ。


俺も今日は幸太郎君に大いに刺激を受けた。


・・・世界は広いな・・・」








「良かったわね、レオ」





「姉ちゃん・・・俺、そろそろ起きてもいいだろ? 


ずっと膝枕で恥ずかしかったんだからさ」





「あ。そうだったわね。ちゃんとご主人様にお礼を言うのよ?」





レオは立ち上がると、幸太郎に向かって言った。





「こ、こう・・・、今度は負けないからな!」





疾風のように走り去るレオを、幸太郎は微笑んで見送った。





「若いねぇ・・・」








レオは幸太郎がこの世界から消えたのち、



『天狼』という異名で呼ばれるようになり、



数々の英雄譚に登場するようになる。



しかし、その強さについて聞かれると、



彼は生涯同じセリフを繰り返した。








『正直なところ、親父や姉貴、そして幸太郎義兄さんには


まるで勝てる気がしないね・・・』










(C)雨男 2022/03/03 ALL RIGHTS RESERVED






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ