幸太郎、大地に立つ
「ちょ、ちょっとおおおおお!!!」
幸太郎は落下を続ける。上を見たら四角い穴からアステラとムラサキが
ちまちまと手を振っていた。幸太郎が座っていた座布団だけが穴へ戻っていく。
「おおおおおりゃあああ!!」
幸太郎は必死に穴へ向かって平泳ぎした。
おお、落下速度が遅くなった! 気がした
30秒ほど落下すると抵抗は無駄とわかり、少し落ち着いた。
(呼吸ができるってことは飛行機ほどの高度じゃなかったんだな。
と、なると地面まであと1分ちょいかな?)
幸太郎は見たくないけど地面を見た。あー、これはアレだ。
うん。復活を試せってことかな。飛行石買っておけばよかった。
アニメイトで。
とりあえず幸太郎は地表方面を眺めた。
大きな白い雪のかかった山脈が見える。
その反対側は海がある。町があるとしたら海のほうだろう。
しかし、町らしいものは見えない。
いや、あれか? という程度のものは見えた。
やはり現代の日本とは比較にならない・・・。
いよいよ地面が高速で接近してきた。
ええい! ままよ! 幸太郎は目をつぶった。
地面に直撃する瞬間、幸太郎は金色の光に包まれた。そのまま地面を
ぽよん、ぽよんと跳ねて、光が消えると幸太郎は地面にぽたんと落ちた。
ぽかんとしていると、幸太郎のそばに革靴がぽてぽてと落ちてきた。
我に返った幸太郎は靴を履くと、上空へ向かって合掌した。ありがたやー。
幸太郎、大地に立つ!
(C)雨男 2021/11/04 ALL RIGHTS RESERVED




