ショートソード
「このバターとチーズ。それと牛乳をあるだけ欲しいんですが。
在庫はありますか?」
「あるだけ? えーと、ちょっと待ってくれよな・・・」
エプロンをしたダークエルフは『マジックボックス』を開いた。
なるほど、冷蔵庫より便利だな、これ。
幸太郎はバターとチーズを、それぞれ20キロずつ買った。
もちろん牛乳も。本当に在庫を全部買った。
バスキーやポメラが『買いすぎでは?』と心配したが、
幸太郎の『マジックボックス』が馬車が入るほどだと聞くと、
仰天しながらも納得した。
・・・なぜか、モコが大いばり・・・。
村への帰り道。幸太郎はチワと手を繋いで歩く。
バスキーはモコの心配をしていた。
「モコ、戦闘の訓練はしばらくやってないが、大丈夫か?」
「うーん・・・。お父さん、後でちょっと教えてもらえないかな?」
「父さんもそう思っていたんだが・・・。
以前、モコは『ショートソードはカッコ悪い』とか言って、
嫌がっていただろう? 武器はどうするんだ?
父さんは、やはりショートソードを勧めるが」
「ご主人様はどう思います?」
「バスキーさんが正解。武器は自分の身の丈に
あったものじゃないと意味が無いよ。
例えば、モコがグレートソードを持ったとしよう。
モコの身長じゃ振り回すときは限られた軌道しか動かせない。
重心も大きすぎる剣に引きずられて、体と剣の綱引きに
なってしまうだろう。敵は容易に剣の動きが予測できる。
わざわざ当たってくれる敵はいないだろうな。
それにモコの手だとグレートソードの柄は太すぎて全力が出せない。
かといって、柄を細くしたら、剣と柄のジョイント部分に
負荷がかかりすぎて、すぐにポッキリ折れる。
体格に合わない武器は見た目と裏腹に敵に馬鹿にされる。
グレートソードみたいな大きな武器は
大男が持たないと真価を発揮できないよ。
『絶対にショートソード』という必要は無いが、
ショートソードを基本として複数の武器が使えると戦術に幅がでるだろう。
あとは戦い方に合わせて小型の盾を持つとか、
投げナイフがあると応用が効くんじゃないかな?」
「ほう! 幸太郎君はかなり詳しいようだな。得意な武器は何かね?
後で手合わせしてみないか?」
マジで死んじゃうんで、やめてください・・・。
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