魔猿族
「そうだな。条件的には申し分ないな。ジャンジャック、どうだ?」
「ああ、俺も異論はない。C級なら間違いなく戦力になるだろう」
『決まったな』とグレゴリオがまとめると、エンリイに向かって言った。
「じゃ、エンリイは今日から幸太郎殿のパーティーのメンバーだ」
「やったあ!」
「うん・・・ええっ?」
「ん? 幸太郎殿はさっき『条件的には申し分ない』と
言ったではないか。エンリイからの条件は提示されていたから
契約成立だぞ? 今さらひっくり返すのはやめてくれよ?
ダンジョン破壊する仲間なんだから、揉め事は困るぞ・・・?」
「う・・・。ま・・・あ、そ、そうだ・・・な・・・」
(てっきり、エンリイは『ダンジョン破壊のパーティー』に
入れて欲しいという意味で、言ってると思ってた・・・)
幸太郎の頭はぽんぽこぷーだ。
幸太郎はエンリイを『鑑定』してみた。
エンリイ。19歳。レベル41。HP45。MP45。
だが、幸太郎の目をひいたのはジョブと、種族だった。
種族:魔猿族
ジョブ:魔猿闘士
「魔猿族・・・?」
幸太郎は思わず声が出た。エンリイが驚いた顔をする。
「え? なぜそれを・・・? ボク、まだ言ってないよね・・・?」
『しまった』と幸太郎は思ったが、後の祭り。
聞いたことも無い珍しい種族に、好奇心が前に出てしまった。
「あ、うん。えー・・・実は、ちょっと俺、
珍しいスキルを持ってるんだ・・・あは、あはは」
「幸太郎、その辺はシェイクダウンの時に説明してくれよ?
俺とゴリオも隠してるスキルを公開する。いい機会だろ。
ダンジョン破壊はお互いの情報の共有が必須だからな」
メンバーも揃ったところで、ジャンジャックが
これからの予定を全員に指示した。
「幸太郎、モコ、エンリイは小狼族の村へ行ってくれ。
今日は俺とゴリオで下調べをする」
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