ダイブ!
「あ。お帰り~。しっかり楽しめた? にししし」
「もう、違いますよ、アステラ様!」
「わかってるってば・・・。苦労をかけるわね」
「アステラ様。これで私は地上に降りる準備完了ってことですか?」
「そうね・・・。魔法もスキルも渡したし、事情も目的も話したわね」
「ところで成仏大作戦は私ひとりでいいのですか?
2号やV3は必要ないんですか?」
「あんた一人でいいのよ。あんたは『呼び水』・・・。
きっかけを作る存在なの。
あんたの行動は水面に波紋を起こすようなもの・・・小さな波紋は
見えなくなっても必ず水面の端まで届くわ」
「呼び水ですか・・・」わかったような、わからないような。
「では一息入れたら、幸太郎君を地上に送りましょう」
ムラサキは『知覧茶』と書いてあるお茶を出してきた。
しばし3人で雑談。
「幸太郎君は地上に降りても、最初は勝手がわからないでしょうから
なるべく魔物がいない場所におろしますね」
「助かります」お茶がうまい
「魔物はいないかもしれないけど、野犬やイノシシくらいは
いるだろうから、その辺は自分でなんとかすんのよ?」
「了解です。まあ、完全に安全な場所なんてないでしょうし、さりとて
町に直接降りたら翌日には処刑されそうですからね」あははは
「ではポチっとな」
「それは」
「なんの」
「スイッチ・・・」
幸太郎の座っていた床がパカっと開いて、
幸太郎は表情を変えずに吸い込まれていった。
いきなり視界が一面、全て空に変わった。尻の下に雲が見える。
「のわああああああああああ!!!!!」
(C)雨男 2021/11/03 ALL RIGHTS RESERVED




