別の宇宙
「異世界ですか・・・? あの、なろう小説とかによくある・・・?」
「そう、異世界。あんたにわかりやすく言うと、別の宇宙ね」
「別の宇宙??? そんなものがあるんですか?」
「うん。たくさんあるわよ? 56億7000万個。なおも増加中ね」
幸太郎は目が点になった。ついていけない。なんじゃこれ?
「まあ、落ち着いて聞いてね。『今回は』ちゃんと説明するわ。
できるだけ、わかりやすくするつもりよ」
幸太郎は『今回は』という言葉が引っ掛かったが、まずは話を聞こうと思った。
「あなたのいた地球。アマテラス先輩の担当している星域のことよ?
その太陽系が銀河にたくさんあって、銀河も集まって『銀河団』になって、
銀河団もたくさん集まって『超・銀河団』になるの。
それが集まって宇宙と言う玉になるわ」
この話は幸太郎も聞いたことがあった。
「その宇宙が56億7000万個集まって、この物質界という
次元を構成しているわけ。そして物質界の数兆倍の大きさの精神世界・・・、
いわゆる霊界とか冥界と言われている世界があるわ」
幸太郎は頭が痛くなってきた。宗教の勧誘ですか?
「それで、あんたがいた宇宙とは別の宇宙・・・
あたしが担当している星で困った問題が起きてね・・・。
アマテラス先輩に相談したのよ」
「えーと。すると相談の結果、おれ・・・私がこちらの太陽系に
トレードされた・・・と?」
「そういうこと。実は絶対数こそ少ないものの、
あんたのようなケースは珍しくないのよ?」
「ところで・・・俺の選択権はどこにいったんでしょう?
地球に忘れてきたみたいなんで、取りに戻ってもいいですかね・・・?」
(C)雨男 2021/10/30 ALL RIGHTS RESERVED