いいよ
幸太郎がバスキーたちと話をしているときに、
ジャンジャックとグレゴリオはクロブー長老とずっと何かを話し込んでいた。
幸太郎がジャンジャックとグレゴリオに
『村の店を回ろうぜ』と声をかけると、2人とも深刻な顔を向けてきた。
「・・・。幸太郎・・・。
どうも、大変なことが起きているようだ・・・。
昨日、バスキーさんやシバさんからちょっと話を
聞いていたんだが・・・。このアルカ大森林のすぐ近くに
新しくダンジョンが発生したらしい。
・・・幸太郎、お前の力がどうしても必要だ。
すぐにダンジョンを破壊しなくてはならん。
頼む、力を貸して欲しい」
「いいよ」
「命がけになる。お前が躊躇する気持ちもわかるが・・・
って、二つ返事かよ!」
「あははは。お前が『必要』って言うんなら必要なんだろ。
すぐにっていつだ? 午後でもいいのか?」
「いやいや、そんな簡単にはいかねえよ・・・。
準備と下調べ・・・。
いや、まずはパーティーを編成しなくてはな。
俺とゴリオはダンジョン破壊の経験がある。
幸太郎はパーティーの要だ。・・・モコ、参加して欲しい。いいか?」
「もちろんです! ご主人様とならどこへでも!」
「モコ、大丈夫か? ダンジョンは危険だ。
父さんが行った方が良くないか?」
「いや、バスキーさん。ここはモコに参加してほしい。
パーティーの役割として、幸太郎はパーティーの心臓部になる。
その幸太郎を絶対に護衛する役割の人間が必要だ。
どんな状況になっても一切迷わずに
幸太郎を護衛することだけを考えるのが必須条件。
それは強いか弱いかではないんだ。モコより適任はいないね。
それに、バスキーさんがこっちに来ると
村が無防備になって、みんなが心配するだろうさ」
「うーむ・・・。わかった。ジャンジャック君が
そう言うならそれが正解なんだろう」
「では、俺、ジャンジャック、グレゴリオ、そしてモコの4人だな。
いつ行く?」
「待て待て。パーティーは通常5人か6人で編成する。
それ以上人数が増えると部隊が重くなり、
もめごとが飛躍的に増えるから最大で6人だが・・・。
今回はダンジョン破壊が目的だから5人がベストだろう。
あと1人欲しいな」
「なんで? 6人の方が戦力的には有利じゃないのか?」
「通常は、な。だが、ダンジョン破壊には別の要素が色濃く出てくる。
んん・・・説明しにくいが、5人は『奇数』だからいいんだ」
幸太郎は徐々にわかってきた。
これは・・・潜水艦で潜航している時と同じ心配が必要な作戦なのだ。
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