表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 2
395/1070

『後手にまわった』


「バスキーさん! 昨日はすいませんでした。


挨拶程度しかできなくて・・・」





「いいさ。人々を治療し、死産のはずだった胎児を救うとは・・・


大活躍だったみたいだな。モコが見込んだ男だけはある」








幸太郎は改めてモコの父親、バスキーを見た。



昨日はほとんど会話もできなかった。・・・恐ろしく強そうだ・・・。



多分、ジャンジャックやグレゴリオと互角か、



それ以上に強いだろう。狼を思わせる精悍な顔つきをしている。








「せっかくだ。改めて自己紹介からしよう。俺はバスキー。


モコの父親だ。こちらはパグル長老。村の長だ。そして、こっちが・・・」





「初めまして。幸太郎さん。私はポメラ。


モコの母親です。よろしくね」





「え? お母さんなんですか? ・・・姉妹じゃなくて?」





「まあ、お上手ね。こんなオバサンに・・・ふふふ」





幸太郎はポカンと口を開けて固まった。



見た目はモコそっくりだ。モコの方がちょっとだけ背が高く、



胸も豊かな分、ポメラより年上にさえ見える。ほんとに姉妹じゃないの?








モコは異世界から来た幸太郎の驚きを素早く理解した。



そっと助け船を出す。





「ご主人様。亜人や獣人は成人した後、


あまり大きく外見が変わらないのです。


お父さん、お母さん、ご主人様の故郷はほとんど人族ばかりの山奥で、


あまり亜人になじみが無いんですって」





「ほう。そうなのか? しかし、幸太郎君はまるで貴族のような


高い教養を感じるが・・・」





「でも、モコが気に入ったのも、うなずけるわねえ。


幸太郎さん、モコに優しくしてあげてね。


この子ったらドジでおっちょこちょいだから・・・


裁縫もまだまだで・・・」





「ちょ、ちょっと! お母さん! 


今、そんな事言わなくてもいいでしょ!」





なんかホームドラマみたいな光景が幸太郎の眼前に展開している。



だが幸太郎は内心思った。








『しまった! ・・・やられた!!』








そう。幸太郎は昨日、途中から完全に忘れていたが、



本当はモコの首輪をバスキーたちの前で破壊する予定だったのだ。



モコは嫌がるかもしれないが、どこの馬の骨ともしれない男に



大切な娘を預けることを、両親が喜ぶはずもない。








幸太郎がモコに村に残る様に説得するとき、モコの両親は



必ず幸太郎の味方をするだろうと踏んでいた。



幸太郎が説得し、両親が引き留めれば、きっとモコは



旅についてくることを諦めるだろう。








だが、昨日、幸太郎は怪我人や病人の治療、



果ては死産の胎児の治療にかかりきりで



完全に忘れていた。その結果、『後手にまわった』










(C)雨男 2022/02/06 ALL RIGHTS RESERVED





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ