バケモノ
「こ、この水はどこの水じゃ? こんなに美味しい水は飲んだことがない!
いや、味ならホーンズ山脈群の湧き水も負けてはおらん。
しかし、この水は・・・。なんというか、
そう、まるで日光が溶け込んだような・・・。飲むだけで気がみなぎる・・・。
飲むとお腹の中で光合成するかのような清々しさじゃ・・・」 光合成・・・
(ああ・・・うん・・・森の精霊ってのは理解できたな・・・)
「その水は、幸太郎様が『飲料水』で作った水ですじゃ。
お気に召しましたかの?」
ジュリアはぐるっと顔を幸太郎に向けると、
鼻がくっつきそうなほど近づいた。
「・・・もっと欲しい。作れるか?」
「は、はい・・・。たくさん作れますが・・・?」
ジュリアはアホ毛をミュイーン、ミュイーンと回しながら、
誰かと話し出した。
「あ。モーリー? シンリン? ちょっと来て。・・・いいから!
なんかすっごく美味しい水があるのじゃ。
そう・・・そう。よし、用意させておこうぞ」
ジュリアは通話が終了すると、水がめとずん胴鍋いっぱいに水を作れ、
と幸太郎に命じた。水がめ1つ、ずん胴鍋2つになみなみと水を作る。
・・・これ、飲むの?
作り終えると同時に、部屋のドアが開いた。
2人の美女がズカズカと入ってくる。
クロブー長老たちが、ものすごく驚いている。
「『中部のモーリー』様! 『南部のシンリン』様!
・・・なんと、ドライアード様が3人お揃いになられるとは・・・!」
クロブーが幸太郎に3人を紹介した。
『北部のジュリア』『中部のモーリー』『南部のシンリン』
・・・このアルカ大森林の精霊、3人のドライアードたちだった。
もちろん幸太郎も驚いている。ジュリアを『鑑定』したのだ。
種族とジョブを見た。確かにドライアード。
ジョブは『樹海の主』とある。驚いたのはHPとMP。
『HP・無限(アルカ大森林限定)』
『MP・無限(アルカ大森林限定)』
とんだバケモノだ!
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