じゃあもういいや
「そんな・・・勘弁してくださいよ! こいつらは大事な商品なんです!
これだけの上玉の奴隷を集めるのに、どんだけ苦労したか・・・」
「しらねえよ。素直に女を渡さねえと、殺すぞ?」
「ま、待ってください。あんたたちは11人なんだろ?
金貨35枚あれば、当分食うに困らないでしょう? 頼みますよ!
この女たちと、子供たちを取られたら、
もう俺は商売できなくなっちまう!」
「うるせえな・・・。今ここで皆殺しにしてやろうか?」
「い、いや、ちょっと待って下さい! わかった、わかりました。
馬車ごと、女たちと子供たちは差し上げますから、
俺だけでも見逃して下さい!
頼みます、どうか、俺だけは助けて下さい!」
盗賊たちはゲラゲラ笑い出した。
「おお、こいつは正直な奴だな。自分だけは助けて下さいってか?
情けねえ。はっはっは、まあいいだろう。
その正直さに免じてお前だけは見逃してやろう」
「あ、ありがとうございます! おい、女ども、お前たちはここを動くな!
命令だ! 大人しくしていろ、命令だぞ!」
幸太郎は机と椅子を盗賊たちと反対側の柵に移動させた。
そして机の上に椅子を積んでよじ登ろうとする。
するとモコが手を下ろして、クルリと振り返って幸太郎に報告した。
「ご主人様。盗賊は武器を握り直し、回り込もうとしています。
どうやら本当に11人だけで伏兵はいないようです」
幸太郎はよじ登るのをやめて、そのまま椅子に座った。
「そか。じゃあもういいや。『攻撃開始』」
盗賊の背後にいきなりスケルトン3体とゾンビ3体が現れた。
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