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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林
352/1070

利口な奴?


 ちょっとだけ顔を出した盗賊は、見張りなのだろう。



幸太郎とモコ、女性陣は両手を挙げて『降参』ポーズを見せた。








薄暗くてよく見えないが、見張りは驚いたようだ。



そして一度引っ込むと、今度は大勢が姿を見せた。



11人いる! そして誰かがポカっと殴られていた。



見張りがバレていたのが怒られたのだろう。



幸太郎は一応『鑑定』した。ジョブは盗賊で間違いない。








「じゃあ、全員死んでも問題ないな。お気の毒に」








盗賊たちは、少しだけ何やら話をしていたようだが、



全員がゆっくりと丘を下って幸太郎たちのほうへやってきた。








ニヤニヤした顔の盗賊たちは柵の近くまで接近してきた。



かがんで隙間から幸太郎たちを見る。



『うひょー! 上玉ぞろいだぜ』という声が聞こえる。



お前らそればっかだな。



幸太郎は早速ひざをついて顔が見えるようにしてから、



情けない声をあげた。





「た、助けてください! 見逃してください! 


お、お金なら差し上げます!」





盗賊たちの中でも一回り大柄な男が前へ出てきた。





「最初から降伏とは、なかなかお利口さんじゃねえか。


俺たちもあまり手荒なことはしたくねえ。


俺たちも好きでこんなことやってるわけじゃねえんだ」 嘘つけ





「ど、どうぞ! この袋に金貨が15枚入っています。


これで見逃してください!」





幸太郎は金貨の入った袋を柵の上から投げた。



袋を拾った盗賊が中身を確かめる。





「お頭! 金貨は確かに15枚ありますぜ」





「おお、ありがとよ! だが・・・。足りねえなあ? 


お前・・・そんなに美女を引き連れて・・・


うらやましいじゃねぇか。ちょっと俺たちにもいい思いさせてくれよ」





「ええ? そ、そんな・・・。


こいつらは依頼で連れているだけで・・・。そ、そうだ、


もっとお金を出しますから、見逃してください! 


お、おい、馬車の中の金貨をこの人たちに渡すんだ!」





モコが馬車の中に用意してあった袋を外へ投げる。



今度は盗賊が直接受け取った。





「お頭! 今度は20枚入ってます」





「おお、お前なかなか話がわかるじゃねえか。


俺は利口なやつは好きだぜ?


・・・だが、やっぱり足りねえな。どうやら、この行商隊の男は


お前だけのようだな。護衛もなしに不用心な奴だ。


いいから、女と馬車の中の子供を置いていけ」










(C)雨男 2022/01/15 ALL RIGHTS RESERVED






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