エイトマーン!
「つけられたかな。どの辺にいる? 距離は?」
「あっち。あの丘の向こう辺りに隠れて集まっているよ。距離は・・・
たぶん200メートルくらいかな」
(すごい・・・よく、そんな距離の音を捉えたな・・・)
「ご主人様。確かに・・・かすかに人の声が聞こえます。
数は・・・多分11人・・・です。
あ! これは・・・弓を複数持っているようです!」
「弓か・・・まずいな。仕方ない。ちょっと作戦を立てるか」
幸太郎はステータスを確認した。思わず『うおっ』と声が出た。
幸太郎のレベルは34まで上昇。MP68。そして・・・HP『8』!!
「ついにHPが8に・・・。いよっしゃあああ!」
調子に乗った幸太郎は、そのまま『エイトマン』を歌いだした。
「ちょ、ちょっとご主人様、今はそんな場合じゃ・・・」
「お? おお、スマン。感激のあまり・・・。『みっちゃんカンゲキー!』」
「真面目にやって下さい、ご主人様・・・」
モコがむすっとして顔を近づける。かわいい。
「ご、ごめんよ・・・。まあ、作戦はできた。シンプルなやつでいこう」
幸太郎は全員を集めると、ごにょごにょと作戦を説明した。
「うわー・・・、なんかドン引きする内容ですね・・・」
女性陣には不評だったようだ。でも、全員壊れた首輪を装着してくれた。
幸太郎は『マジックボックス』から吸い込んだ机や椅子を取り出す。
そして、スケルトンを試すことにした。
まだ、丘の向こうの盗賊たちは姿を見せない。
だが、何を迷っているかは想像がつく。
『その迷いが致命傷だよ』 幸太郎たちのほうが先に準備が整った。
勝ち確定。
夕日が地面に沈み始めるころ、丘の向こうに盗賊の1人が
ちょっと顔を出した。作戦スタート。
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