番外編 地獄のロッカールーム 2
「赤鬼よ・・・。こいつは・・・。うむ、間違いない。
世界最古の金棒メーカー『降魔社』の最高級モデル・・・。
『断罪 トリプルエックス ジャッジメント』だ。
ん? このグリップの刻印・・・。なんだと!? こ、これは!
当代随一の金棒職人『鬼平 一平』のもの! じゃあ、これは、
『断罪シリーズ』の中でも限定20本しか生産されていない、
最高級モデルの中の頂点、『鬼平 一平モデル』なのか!
・・・こいつはたまげたぜ・・・」
「むっふっふ! どうだ! こいつはすげえぜ?」
「おい、ちょっと握ってみていいか?」
「もちろんだ。ちょっと振ってみろよ。違いがわかるぜ?」
青鬼は『断罪 トリプルエックス ジャッジメント
~鬼平 一平モデル』をぐっと握ってみた。
「うむ! グリップが手にぴたっと吸い付くようだ。
グリップを握った瞬間、金棒の先端にまで神経が通ったような
一体感・・・。まるで金棒まで自分の手になったような・・・。
これなら、どんな大物犯罪者でも軽々と、意のままに操れるだろう・・・」
赤鬼は『うんうん』とうなずいている。
「それにしても、よく、こんな高級品を買うことを
嫁さんが許してくれたな?」
「実は、嫁さんから提案があったんだよ。
今度は恐怖新聞とかの取材もくるだろ?
それで『うちに、かっこいいところ、見せてほしいんだっちゃ!』
ってな。えへへ・・・」
「へいへい、ご馳走様。ったく、地球温暖化って話を聞いたが、
半分くらいお前のせいじゃねーのか? あははは」
「お前も早く結婚しろよ。鬼子ちゃんをいつまでも待たせるなよな。
きっと待ってるぜ? そうだ、今日のメディアの取材で
いいとこ見せて、その勢いでプロポーズしちまえよ」
「ま、まあ、その、実はだな・・・」
青鬼も金棒ケースから、一本の金棒をすらりと抜いた。
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