パズルのピースが揃わない
『ファルネーゼ様は何かを隠している』
隊長は確信した。
そして、これが隊長の心を『折った』
(つまり・・・俺たちでは絶対に知りえない、何か情報があり・・・、
どう頑張っても、パズルのピースは揃うことはないんだ・・・)
真相にたどり着けない・・・。それは犯人にたどり着くのも、
ほぼ無理だということを示している。隊長は溜息をついた。
「はは・・・。逆の意味で大きな収穫だったな・・・。
国への報告書にも書けないし、事件はこれで終わりか・・・。
ファルネーゼ様が俺たちをかばって下さらなければ俺の首は飛ぶ・・・。
ファルネーゼ様のご機嫌を損ねないようにするしか道はない・・・か」
その時、隊長たちの所へ一人の警備兵が走ってきて何かを告げた。
「なんだと! 今夜はネクロマンサーの騒ぎを利用しようとする者が
現れる可能性が高い?
・・・ジャンジャックとグレゴリオがそう言ったのか?
ううむ、それは確かに考えていなかった・・・。俺もどうかしているな。
そんな簡単な可能性に頭がまわらんとは・・・。
よし、まずは急いで詰め所に戻るぞ!」
隊長は『馬でくるべきだった』と後悔してから、自分の頭を叩いた。
『えらそうに馬で乗り付けたら、ファルネーゼ様への謝罪が台無しになる』と、
徒歩にする決定をしたのは自分なのだ。
「あー・・・。本気でちょっと寝たほうがいいな・・・」
もうネクロマンサーを警戒する必要はないのだから。
隊長はちょっとだけ気が楽になった。
「とりあえず、俺は詰め所へ戻る。お前は冒険者ギルドへ走って、
人手を集める相談をギルド支部長へ入れておけ。
ネクロマンサーの心配はしなくていいと言え。
もう外へ逃げた、という線で進めよう」
警備隊の3人は二手に分かれて走り出した。
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