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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーVSエルロー辺境伯 4
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精神支配系統の魔法は嫌われる


「お、おいっ! お前忘れたのか? 『魅了』は・・・」





部下も思い出したのか青くなった。





「そ、そうでした! あれは貴族にかけたら・・・死刑でしたね・・・」








『魅了』 『支配』 『同調』などの精神支配系統の魔法は、



貴族とその周囲の召使にかけると死刑になった。



貴族にかけると問答無用で死刑。



召使いでも主の許可なくかけた場合は死刑となる。








この世界はそれぞれの国に中央政府はあるが、



連絡手段や移動手段が限られるために、



領地を持つ伯爵以上の貴族はいわば『小さな国の王』と言ってよかった。








つまり伯爵以上の貴族に『魅了』をかけるということは、



小さな国の王を操ると言う事と同義。



そして、それ以下の貴族でも操ることさえできれば、



簡単に王を暗殺できるということになる。



当然、反乱にしろ、敵国に寝返るにしろ王国は滅茶苦茶だ。








そのため精神支配系統の魔法は、貴族にかけることは



『絶対に』禁止だった。



この世界の共通認識である。悪用された場合の被害は



元素魔法などの比ではない。








事情聴取のために辺境伯のメイド2人に『魅了』を使ったが、



それは事前の許可をとり、イネスなど複数の立会人を同席させている。








「まったく・・・。気を付けろよ? 今のはあくまで捜査のためと


わかっているから不問にするが、誰かに聞かれたら


貴族を支配しようとした疑いで禁固刑、


最悪の場合は処刑するよりないんだからな?」





「は・・・はは、申し訳ありません。


徹夜で判断力が鈍っているようです・・・」





「まあ、それは俺にも言えることだな・・・。一度休んだほうが良さそうだ」








精神支配系統の魔法は強力だが、死霊術と同じく嫌われていた。



習得しようという人も少ない。



何かちょっと手違いがあっただけで本当に死刑になるからだ。










(C)雨男 2022/01/02 ALL RIGHTS RESERVED






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