表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーVSエルロー辺境伯 4
317/1070

イネス


「!・・・イネスさん・・・ですか?」





「十中八九そうだろう。あの人は頭の切れる人だよ。


イネスさんが噂を流した証拠はないが、


・・・あったら困るが、昨日見た限りでは、


他のメイドやファルネーゼ様にできる芸当ではないな。


俺が『メイドはできる限り殺したくない』って言ったのを覚えているか?


警護の中に俺たちの味方がいる可能性もゼロではないが、


多分、『裏切者』はメイドのほうだと踏んでいたのさ。


まあ、根拠としては非常に薄弱なんだが、


もし、エルロー辺境伯のやってることを具体的に


知ることができるとすれば、それはやっぱり『長』と名の付く立場の


人たちだろう。執事やメイド長、警護の隊長とかだ。


下っ端に話が漏れたりしたら、まず口封じを考えるだろう。


そして、知っていてエルロー辺境伯と敵対する気なら、


まず執事は除外できる。


エルロー辺境伯のやってたことは協力者なしではできないからだ。


屋敷のこと全般に関わる執事が協力しなければ、


辺境伯は自分でブロトと交渉し、自分で子供たちを引き取りに行き、


自分で掃除や死体の後始末をしなくてはならん。


仮にそれを執事抜きでやるとした場合、


それを執事に知られないようにするのは無理だろう。


残るのはメイド長か警護の隊長・・・。


まあ、あの屋敷に他にどんな役職がいるのかは知らないけど、


やってることから考えれば、知ってる人は少なければ少ないほどいい。


料理長とかなら『知られてはならない』部類に入るんじゃないかな?


そして警護の隊長だが、もし、エルロー辺境伯と敵対する気なら、


もっと直接的な行動に出ると思う。噂なんか流すよりも、


警護の部下を大勢味方につけて、自分で辺境伯の首を取ろうとする方が


手っ取り早い。首を取ったら、それを手土産に


カーレに亡命すればいい。まあ、何度も言うが、根拠としては薄弱で、


俺の独断と偏見でできた危なっかしい推測にすぎない。


でも、可能性としてはメイドが裏切者だと思っていたんだよ。


で、実際に見たら・・・まあ、


イネスさん以外にやれそうな人間は見当たらないね」





「では、イネスさんはずっと前から・・・?」





「そうだ。噂を流して、亜人や獣人たちに警告を与える。


『気を付けろ』と。


そして、自分の計画に乗ってくれる人へのメッセージを


流し続けていたんだよ」





「イネスさんの計画? え? え?」





「さっきの『噂』に戻るが、具体的なわりに、


あくまでも『噂』だよな? なぜだと思う? 


それはエルロー辺境伯が『決定的な証拠』を絶対に出さなかったからだ。


エルロー辺境伯も内部の裏切者の存在は知っていたはずだ。


内容が具体的だからな。


しかし、全然しっぽがつかめない。だからせめて、


証拠だけは出さないように気を付けていたんだろう。


辺境伯の執事が・・・アンガスっていったか?


あいつだけが絶対的な辺境伯の味方だったんだろうな。


俺たちが踏み込んだときに、辺境伯は執事を呼んでいたから。


あの塔のてっぺんに躊躇なく呼べるんだ。


完全に共犯者だろ。それでイネスさんは・・・」





幸太郎はもう一度スプーンで味見をした。





「うむ・・・。まあまあ形になってきたな・・・。


よし、卵黄を追加して量を増やそう・・・。


ああ、イネスさんはそれを逆手にとった。


エルローの馬鹿の犯罪をばらして明らかにするより、


『噂』のままにしようとしたんだな」





「ええ? 噂のままのほうが都合がいいんですか? なぜ?」










(C)雨男 2021/12/28 ALL RIGHTS RESERVED






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ