金貨18998枚
幸太郎が支払いの時に仰天したことがあった。ぼったくられたのではない。
幸太郎は『ステータスウインドウ』を脳内表示で展開したあと、所持金を見た。
『金貨18998枚』
他に銀貨も銅貨もみっちりある。時間が無かったので、
エルロー辺境伯とブロトの金庫室をまとめて吸い込んだのだが、
まさか合計でこんなにあるとは思わなかった。
モコの村は、おそらく賠償金を金貨3000枚でも受け取らないだろう。
逆に幸太郎に報酬を払うつもりだろうから。なんとかしなくては。
(うーん・・・。あの手でいくか・・・)
幸太郎はせめて金貨1000枚を受け取らせる計画を考えた。
場面は変わって、こちらはジャンジャックとグレゴリオ。
『カモメの羽休め停』の一階で朝食をとっていると、
警備隊の使いがやってきた。と、言っても、
昨日の夜に隊長と一緒にいた騎馬の騎士の1人だ。
「やあ、朝早くからスマンな。朝食が終わってからでいいから、
警備隊の詰め所まで来てくれないか?
一応、情報を正確に集めて整理したいのでな」
ジャックとグレゴリオは快諾した。
朝食のあと、のんびりと詰め所へ向かう。
詰め所はひどい有様だった。少し臭い。結局、昨日の騒ぎが起きてから
走り回っていたのだろう。今日の当番の者や、非番の者まで
かき集めて事態の対処や究明に夜通しあたったようだ。
まあ、辺境伯が殺されて、そのうえ死体が大通りを歩き回ったのだ、
当然と言えば当然か。
「ははは・・・。見ての通りひどい有様だよ・・・。全員徹夜さ。
大通りの商店街も結局一晩中、騒ぎは収まらなかったからな・・・」
「噂はだいたい聞いたよ。エルロー辺境伯の死体が
町を歩き回ったそうだな? しかも、取り押さえようとしても、
すごい力で抵抗するから散々手こずったらしいじゃないか。
犯人はネクロマンサーか・・・。しかもかなり高位の術者と見て
間違いねえな・・・」
「そのうえ、ジャンジャックと剣で打ち合うとか、武力もあるようだな。
俺たちが見た黒フードの2人組は、相当やっかいな相手のようだ・・・」
グレゴリオは眉を寄せてキリっと嘘をついた。
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