1日2回まで
幸太郎は『冥界門』を呼び出した。カルタスに話かけてみる。
「カルタス・・・。聞こえるか?」
「幸太郎様。お待ちしておりました。いかがでしたか? その後は?」
「もう大丈夫。心配かけたな。カルタスたちのおかげで子供たちも無事。
今は隣で寝てるよ。明日にはアルカ大森林へ出発する。
それにしても、全員強いな。正直、想像のはるか上だったよ。
無駄な殺生が無かったのは、
ひとえにカルタスたちの圧倒的な強さゆえだ。ありがとう、感謝する」
「過分な、お褒めの言葉、恐縮です。
部下たちもお役に立てて喜んでおります。
ただ・・・。なんか、全員『決めポーズ』の開発に勤しんでおります・・・。
子供たちにお礼を言われたのが、よほど嬉しかったのでしょう」
「ははは、そうか。次の時の楽しみにしておくよ。
みんなに直接お礼を言いたいが、門を開けても大丈夫そうか?」
「いえ、今はおやめください。さすがに、2回連続、
今日は合計3回も門を開けたせいか、
こちらの亡者たちに嗅ぎつけられたようです。説明しにくいのですが、
地上の匂いというのか・・・水面に波紋が起きるというのか・・・、
とにかく凄まじい数の亡者たちが辺りを探し回っております」
「そ、そうなのか? そういえばアステラ様も
『水面に波紋』みたいなことを言っていたな・・・。
わかった。助けてくれたゴーストのみんなにもお礼を伝えてくれるか?
今日のところはここまでにしよう。
カルタスたちは切り札として申し分ない。
また、困ったことがあったら頼らせてもらうよ」
「どうぞ、我らの力、お使いくださいませ」
幸太郎は『冥界門』を消した。思いがけぬ貴重な情報だった。
2回連続で使うと他の亡者に気づかれるのか。
そして、あのくらいの時間のインターバルでは大した効果はないようだ。
インターバルを取らないよりまし、くらいみたいだ。
『冥界門』は1日2回まで、と決めてうかつに開けない
ルールにしようと幸太郎は考えた。
(『冥界門』は圧倒的な力だ・・・。しかし、使い方は気を付けないとな)
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