ブランデー
解放した狸人族の姉妹が給仕役を買って出てくれた。
野菜たっぷりのスープをみんなに配る。温かい。パンも軽く温めてあった。
ソーセージは絶品だった。これは幸太郎がは腹ペコとは関係なく、
現代の日本に輸出しても売れそうだ。
『パキッ』といういい音が部屋に響き渡る。うまい!
子供たちは、当初あんまり食欲はなさそうだったが、
次第にもりもり食べ始めた。
幸太郎はまたしてもギブルスの気遣いに舌を巻いた。
あくまでも普通の、奇をてらわない食事だからこそ、
子供たちの緊張がとれてきたのだろう。
幸太郎は人狩りから奪ったヤカンに
『飲料水』を入れて、テーブルに出した。
もう一つ、幸太郎はエルロー辺境伯の警護が飲みかけた
ブランデーの樽を思い出した。
「飲みかけなんですが・・・樽に入ったブランデーが、
まだたくさん残ってます。みなさん飲みますか?
いらないなら捨てようと思いますが・・・」
元奴隷の女性陣に聞いてみた。『捨てるくらいなら』
ということで全員欲しいと言った。
蓋の開いてる方を『マジックボックス』から床に出した。どしん。
意外なことに女性陣はみんなガブガブ飲みだした。
特にエルフの女性2人が喜んでいる。
「おいしい~! お酒なんて久しぶり!
しかもこれ、すごく香りがいいわ!高級品じゃないですか?
全部飲んでいいのですか? 本当!? 幸太郎さんて気前がいいんですね!」
幸太郎はお酒は一滴も飲まない。幸太郎はお茶やジュースの方が好きだ。
それに、どの道『太陽神の加護』で酔わないだろう。
モコもお酒は飲まなかった。幸太郎に合わせているのだろう。
気を使わなくていいのに。
(C)雨男 2021/12/21 ALL RIGHTS RESERVED




