ようやく騎馬の兵が
しばらく待っていると、門の方から松明を持った騎馬が
近づいてくるのが見えた。騎馬は3騎。騎馬は橋を渡らずに、
ジャンジャックとグレゴリオに話かけてきた。
「おい、黒フードの奴らと、うちの警備兵を見たか?」
「ああ。黒フードとはちょっとだけ、やりあった。
橋を渡ってカーレの方向へ走っていったよ。
警備兵もそれを追いかけて行った。
そこの剣が黒フードの1人が落とした剣だ」
「ほう。この剣が? 倒した・・・わけじゃないな?
どんな奴らだった?」
「ああ、門のほうから2人走ってくるのが見えたんだ。
あいにく黒フードに仮面をつけていたから、
顔はわからない。ただ、怪しいやつらだったんで、俺が剣を抜いたら、
黒フードの1人が斬りかかってきたんだ」
「強かったか?」
「ああ、正直かなり強いと思う。2回剣を打ち合ったんだが、
いきなり黒フードの男が剣を手放したんだ。投げるでもない、
捨てるでもない、空中で『手を離した』だ。
こっちは意味が分からなくて一瞬止まっちまった」
「そこをジャンジャックは蹴り飛ばされて、川へドボン、
というわけだ。俺はここから見ていたが、よく訓練されていると思った。
ジャンジャックを倒すことより、足止めを食らわないことに
重点を置いている。ジャンジャック相手に剣を手放すなんざ、
並みの奴にできる芸当じゃないな」
騎馬の兵隊はしばらくカーレの方を見ていたが、3人とも馬を降りた。
「もう、追っても追いつけそうにないな。
先に行った警備兵がどちらかだけでも捕まえているといいが・・・」
「いや、追いかけたほうがいいんじゃねえの? 走っていった奴らは、
あんたらが来るよりだいぶ前に橋を渡ったぜ?
援軍を待っているかもしれねえ」
「俺たちが門を出るのは、かなり遅くなった。
今からでは連携がとれんだろう。それに、あんまりカーレに近づくと
ジャンバの騎馬隊が出てくるかもしれん」
「まあ、それはそうだな。そういや、なんでこんなに遅くなったんだ?
軽装備の兵より、ずいぶん遅かった気がするが・・・」
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